夏も本番、熱中症対策として暑さ指標(WBGT)や応急処置についてお話をさせて頂きましたが、実際の練習や試合ではどれくらいの水・糖・塩分を摂取したらいいのかイマイチわからない、、、ということで、今回はIOC (International Olympic Committee/国際オリンピック委員会)のNutrition for Athlete(アスリートの為の栄養)という資料を参考に情報をシェアさせて頂きます。
作者別: Sportsokinawa
#7 熱中症の応急処置ステップ4を整理しよう!
いよいよ夏本番、気温、湿度、活動量が増えることに伴い熱中症のリスクも大幅に上がります。対策を十分にとったとしてもいざ具合が悪くなった場合はどうするの?そんな時に落ち着いて対処できるように情報の整理をしておきましょう。
#6 熱中症対策に欠かせない2つのメカニズムと3つの要因!!!
暑い時期が近づいてくると避けて通れないのが熱中症対策。そこで今回は熱中症がおこる2つのメカニズムと3つの要因をご紹介させて頂きます。熱中症が起こるメカニズムを理解することで、より質の高い熱中症対策に繋げて頂けたら幸いです。
#5 熱中症対策に欠かせない暑さ指標(WBGT)ってなに!?
7月に入りいよいよ夏本番!!夏休み期間中は、練習や試合で長時間外に出ることが増えます。そこで気になるのが熱中症!みなさん、気にはなっているももの、意外と情報を整理できていないのでは?そこで今回は熱中症に関する情報をご紹介します。
暑さ指標(WBGT)ってなに!?
暑さ指標(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)とは熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案され、①湿度、②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺環境、③気温の情報をもとに指標化されています。暑さ指標(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中患者が著しく増加すると言われています。
暑さ指標(WBGT)の求め方は?
WBGT値と気温、相対湿度との関係をご紹介させて頂きます。下記の表を確認してみると、気温33℃、相対湿度20%の場合暑さ指標(WBGT)は24℃となります。ここで重要なのは、ただ気温が高いか低いかではなく、相対湿度も非常に重要な指標になっていることです。例えば、気温は25℃でも相対湿度が90%以上になると、暑さ指標(WBGT)は28℃となり、熱中症患者が著しく増加することが予想されます。
暑さ指標(WBGT)はどう使う?
暑さ指標(WBGT)を日常生活と運動時にそれぞれどのように活用するのかをまとめた表が下記となります。運動をする際は暑さ指標(WBGT)21℃以上から熱中症による死亡事故が発生する可能性があると記載されています。みなさんも日頃の活動内容やレベルに応じて各指針を参考にしてみて下さいね。
暑さ指標(WBGT)の実況と予報を確認してみよう!
環境省のサイト:http://www.wbgt.env.go.jpでは下記のように暑さ指標(WBGT)を地域ごとにタイムリーで確認できるのでご活用下さい。
まとめ
今回は熱中症に関する指標や指針についてご紹介させて頂きました。夏休みも近づき熱中症のリスクが増大することが予想されます。運動する際は暑さ指標(WBGT)の事前確認をお忘れなく。
PS
沖縄は台風当たり年かも、、(^^;
#4 トップレベルのサッカー選手が持つ2タイプのスタミナとは!? その②
前回は、”休まずに動き続ける”スタミナについてお話させて頂きました。今回はもう1つのタイプについてお話しようと思います。
様々な動きを繰り返し続けるスタミナとは!?
サッカーでは攻守が目まぐるしく入れ替わることで、ダッシュ・ストップ(減速)・ジョギング・切り返し(方向転換)・ジャンプ etcなど、“様々な動きを繰り返し続けるスタミナ”が重要とされます。例えば、フォワードの選手が空いているスペースに飛込み、味方からボールを受け1対1を仕掛けるといった一連の流れには、スペースに飛び込む際の①ダッシュ、ボールを受ける際の②ストップ(減速)、1対1での③切り返しなど様々な動きが要求されます。一連の流れの中で”如何にスピードやパワーを落とさずに繰り返し続ける”ことができるか(あえて動きに緩急や強弱を局面もありますが、今回はその点に関しては触れません)、さらに一連の動作終了後、次の局面までに”如何に早い時間で回復することができる”かも非常に重要なポイントとなります。
グラフでイメージを掴んでみましょう(^^)/
下記は、5回の運動を少しの休憩を挟み全力で行った際のパワー出方をイメージ化したグラフです。
グラフ①
パワーは高いが、回復が遅くパワーが急激に下がっていく選手。
グラフ②
回復が早くパワーは下がりにくいが、パワーそのものが低い選手。
グラフ③
パワーが高い&回復も早い為、高いパワーを持続できる理想の選手。
みなさんはどのタイプに当てはまりましたか?
グラフ①に当てはまったみなさんは高いパワーを持続できるように持久系トレーニング(回復能力を高める効果がある)を追加し、グラフ②に当てはまったみなさんはより高いパワーを出せるようなトレーニングを追加してみると良いでしょう。
30m走を20秒の休息(インターバル)を挟んで全力で5~10本行った後、1本目のタイムに比べ、5~10本目がどれくらい落ちているのか&1番早いタイム(通常は1本目)を調べると良い指標になるかもしれませんね。
自転車エルゴメーター(エアロバイク等)などの機器がある場合は7-10秒の全力漕ぎを20秒の休息(インターバル)を挟んで5~10本行い一番高いパワー&1本目に比べてどれくらい数値が下がったか(逓減率)を測定してみるのもお勧めです。
まとめ
2回にわたりスタミナというキーワードを掘り下げてみましたがいかがでしたか?今回ご紹介させて頂いた以外のスタミナもあるかと思います。重要なことは、日頃なんとなく使っている表現でも“指導者と選手で共通の理解やイメージを持つ”ことが大切で、トレーニングのみならず日々の練習や試合でもそういった点を意識する必要があるかもしれませんね(^^)。
PS
日本残念でした、、、既に次回のワールドカップが楽しみです!!
#3 トップレベルのサッカー選手が持つ2タイプのスタミナとは!? その①
良く試合を通して、この選手はスタミナがある、もしくはスタミナ不足などという話を耳にすることがあるかと思いますが、そもそもスタミナとはどういったものを指すのでしょうか?そこで、今回は2タイプのスタミナ(今回はそのうちの1つ)についてお話しようと思います。
休まずに動き続けるスタミナとは!?
まず、1つ目にご紹介させて頂くスタミナは、“休まずに動き続けるスタミナ(持久力)”についてです。
イメージ的にいうとマラソン競技など運動中に休みを挟まず動き続けるものを指します。(レース中駆のけ引きにより、ペースが変動したりもします。)このタイプの運動に必要なエネルギーを生み出す為に欠かせないのは空気中にある酸素で、いかに効率よく体に取り込むことができるか!?が重要なカギとなります。(運動生理学の分野では酸素を取り込む能力のことを最大酸素摂取量(ml/kg/分)などと表現しています。)めちゃくちゃ簡単にいうと、決められた時間内でより多くの酸素を自分の体に取り込むことができれば、高いレベルの運動を続けやすくなる!ということです。但し、体の大きさも考慮することをお忘れなく!
* ml/kg/分(1分間に体重1kg当たりに取り込むことのできる酸素量ml)
例えば、どちらが凄いと思いますか?←例文が正しいかは、なんとも言えませんが。。。
- 体重 200kg のお相撲さんが5Lのコーラを一気飲みしました。
- 体重 38kgのモデル体型のOLさんが5Lのコーラを一気飲みしました。
勿論、答えは②ですよね!?
そんなに小さな体でなんでそんな量のコーラを飲めちゃうの!!!!!?
ってな感じで、スポーツ選手も同じように体重あたりに取り込める酸素の量が多ければ多い程、スタミナ(持久力)があると言われます。
具体的に数値として示した表がありましたのでご紹介させて頂きますね(^^)/
サッカーの場合の最大酸素摂取量(ml/kg/分)
男性:54-64 ml/kg/分
女性:50-60 ml/kg/分
一番値が高い競技は75ml/kg/分でクロスカントリースキーとランニング(マラソン)となっています。
ちなみに、世界的にも数値が高い選手は最大酸素摂取量が100ml/kg/分近くまであるようです。
まとめ
今回は、2タイプのスタミナのうちの1つをご紹介させて頂きました。自分が行っている競技のスタミナレベルを把握しておくことは、試合の結果が戦術 or 体力で勝敗を分けたのか?などを判断する際の手助けとなります。チャンスがあれば是非活用してみて下さいね!
PS
そもそも最大酸素摂取量(ml/kg/分)ってどうやって測定できるの!?という疑問が浮かんでくると思うので近々ご紹介させて頂きますね(;’∀’)。
#2 ワールドカップレベルのスタミナは!?
日本がセネガルと2-2で引き分け、日本代表も海外代表チームと互角に渡り合えることを示してくれました!第3戦が楽しみですね。
そんなトップレベルの選手達のスタミナについて少し調べてみたのでご紹介しますね。
今回ご紹介するのは、2008-2009,2010,-2011にヨーロッパリーグでプレイしたプロサッカー選手(147名)のスプリント活動と移動距離に関するデータです。
*CD : Central defender (セントラル・ディフェンダー) 39名
*ED : External defender(エクスターナル・ディフェンダー)35名
*CM : Central midfield (セントラル・ミッドフィルダー)35名
*EM : External midfield(エクスターナル・ミッドフィルダー)20名
*F : Forward(フォワード)18名
プロサッカーのゲーム中には120-250の異なる動きがあり、方向転換の動作に関しては1100回程度行われていて、フォーメーションやポジションにもよりますが、彼らのピッチ上での動きは4-6秒おきに変化しているそうです。
1試合の移動距離は!?
CM(セントラル・ディフェンダー)が1番移動距離が長く11 760±797 m(11.76km前後)、その他、EM(エクスターナル・ミッドフィルダー) : 11745±689.98m(11.74km前後)、 ED(エクスターナル・ディフェンダー) : 11063.2±790.71(11.06km前後)、F(フォワード) : 10939.8±648.18(10.9km前後)と続きます。また、前半よりも後半の移動距離が長いというデータも興味深いですね!
1試合あたりのダッシュの距離が長いポジションは!?
全体の移動距離の中でダッシュの距離が長いのは、F(フォワード)で345 ± 29 m、その他、EM(エクスターナル・ミッドフィルダー) : 314±123 m、 ED(エクスターナル・ディフェンダー) : 265±121 m、CD(セントラル・ディフェンダー) : 186±82 mと続き、最もダッシュの距離が短いのはCM(セントラル・ミッドフィルダー) : 167±87 mでした。全体の移動距離とスプリント距離の割合(%)に関しても、フォワードが3.13%という高い結果となっています。
1回にダッシュする距離はどのくらい!?
全体平均は21±3 mで、1回で1番長い距離をダッシュするのはED(エクスターナル・ディフェンダー): 22.0±4 mでこの距離はEM(エクスターナル・ミッドフィルダー):20.7±3 mよりも5%、CM(セントラル・ミッドフィルダー): 20.7±3 mよりも10%高い数値となっています。
ゲーム中一番早く走るポジションは!?
ずばり、F(フォワード)が一番早く33.1±1.9 km·h-1、順にEM (エクスターナル・ミッドフィルダー): 32.9±2.0 km·h-1、ED(エクスターナル・ディフェンダー) : 31.8±2.0 km·h-1、CD (セントラル・ディフェンダー): 31.7±1.8 km·h-、と続き、最もスプリント速度が遅いのはCM(セントラル・ミッドフィルダー) : 31.0±1.7 km·h-1でした。
ダッシュ間の休み時間が一番短いポジションは(‘’◇’’)ゞ!?
F (フォワード) : 311±72 とEM(エクスターナル・ミッドフィルダー): 331±113 sのポジションは、CM(セントラル・ミッドフィルダー):567±275 s とCD(セントラル・ディフェンダー): 540±221 s に比べて休みが短い傾向にあるようです。
まとめ
今回はスタミナという何となく漠然とした言葉を少しだけ見える化できたような気がします。エリートリーグで成功しているチームはそうでないチームに比べて、より早いペースで走ったりしているというデータもあるようです。
あとは、各チームのスタイルや、戦術、大会レベル、体のコンディション等を踏まえた戦略、及びコンディションづくりをしてみると良いかもしれませんね。
PS
決勝Tに進んでほしいですね!
参考文献
Marcin Andrzejewski, Beata Pluta and Jan Konarski. (2015) Sprinting Activities and Distance Covered by Top Level Europa League Soccer Players. International Journal of Sports Science & Coaching · February 2015 DOI: 10.1260/1747-9541.10.1.39
#1 ワールドカップレベルの体重・体脂肪とは!?
先日はワールドカップで日本がコロンビアに2-1で見事に勝利をおさめました! 凄いですね!!
そこで今回は、どのような選手がワールドカップに出場しているのか!? 気になったので、体重・体脂肪に焦点をあてリサーチしてみました。これからワールドカップ出場を目指す選手にとって少しでも参考になれば幸いです。
全選手がワールドカップに参加しているわけではありませんが、イギリス・サッカープレミアリーグのトップチーム、U21、U18、の選手の体重・体脂肪に関しての情報があったのでご紹介させて頂きますね。
測定人数 : 1st チーム(27名)、U21(21名)、U18(35名)
体脂肪率(%):1st チーム(10.00±1.6%)、 U21(11.6±2.5%)、U18(11.4±2.6%)
脂肪量(kg):1st チーム(7.8±1.6kg)、 U21(8.8±2.1kg)、U18(8.2±2.4kg)
筋肉量(kg):1st チーム(66.9±7.1kg)、 U21(64.6±6.5kg)、U18(60.6±6.3kg)
下記、文献の要約を更に要約したものです↓
各カテゴリーの測定(体重・体脂肪率)を行った結果、体脂肪率(%)、脂肪量(kg)に関しては、1st チームが他のカテゴリーよりも低いという結果だったが、それ以上に注目すべきは1st チームとU18カテゴリーとの筋肉量(kg)の差であり、若いカテゴリーの選手は、体脂肪率(%)や脂肪量(kg)を下げることよりもトレーニングや栄養指導を取り入れ筋肉量(kg)を増やすことをお勧めする。
さぁ、この論文を踏まえてもしもあなたが17歳の選手だった場合はどうされますか?
①私は1st チームの選手よりも筋肉量(kg)が少ないからガンガントレーニングをしよう!
②私はU18の選手の筋肉量(kg)の平均程度はあるから今のままで無理せず成長とともに自然に筋肉量(kg)が増えるのを待とう!
正解は、、、、、、、、、、
どちらとも! ←多分。。
つまり、個々の選手は成長段階(生理的年齢)によってそれぞれ状態が異なる為、一概にああしろ!こうしろ!とは言えないということです。骨端線が閉じ、身長の伸びもある程度落ち着いてきた選手は、上のカテゴリーの数値を目標にしてみるのも良いでしょう。しかしながら、その準備が整っていないのにも関わらず、数値だけを追いかけるということは必ずしも良い結果に繋がるとは言い切れません。トップ選手と同じ強度やボリュームのトレーニングを継続的に積むことは難しいので。。
まとめ
文献検索を行ってみると、過去に色々な方々が沢山のリサーチを行っていることに改めて気づかされました。とても有難いですね!そして、それらの貴重なデータやご意見をもとに新しい可能性を探っていくのも面白いかもしれませんね。とにもかくにも、トップ選手の体脂肪率(%)が10%前後だということを知れたことは収穫です!これからのみなさんの練習やトレーニングの参考にしてみて下さいね。
PS
今度は、トップ選手の身長と体重のデータでも調べてみようかな。
参考文献
Milsom J1, Naughton R, O’Boyle A, Iqbal Z, Morgans R, Drust B, Morton JP. (2015) Body composition assessment of English Premier League soccer players: a comparative DXA analysis of first team, U21 and U18 squads. J Sports Sci. 2015;33(17):1799-806.