ここ最近、全国のお天気ニュースでは桜の開花情報と共に暖かい日々が増えてきましたね。沖縄は全国で一番桜の開花時期が早い為、残っている桜はほんのわずかで、 春をすっ飛ばしていよいよ夏本番!といったところです。実際に沖縄県内のいくつかのビーチでは海開きがスタートしています。
今回はビーチ環境に恵まれた沖縄ならではの疑問、ずばり “ビーチ(砂の上)で走ると足が遅くなるのはなぜ?”について考えてみました。
100m,200m競技に参加レベルの選手(平均年齢21±6/男性5名/11.0±0.4秒、19±2/女性5名/12.6±0.3秒)が砂の上と陸上の上でそれぞれ30m走を走った際のデータがあるのでご紹介させて頂きます。
男女共に30m走の平均速度が砂の上では陸上に比べて男性で15.8%,・女性で12.4%減少という結果になりました。この結果に関してはみなさんの経験上容易に想像ができたと思います。
走速度=ストライド×ピッチとなりまずが、興味深かったことは、砂の上ではストライドの長さは短くなるもののピッチは陸上と大きく変わらなかったという点です。(個人的にはどちらも陸上に比べてパフォーマンスが下がっていると思っていました)
もし、ビーチ(砂の上)で陸上と同じパフォーマンスを保つ為にはピッチをあげないといけないということになります。
イメージとしては、陸上と同じように足を動かしているはずなのに前に進むことができないといったところでしょうか。
↓こんな感じ!?
砂の上ではストライドの長さが短くなることでゴールまでの歩数が増え、陸上に比べて余分にエネルギーを使うこととなります。発想を変えてみると、体に負担(負荷)がかかるという点では良いトレーニングになるということが言えるでしょう。シーズンど真ん中のトレーニングとしては、負担が大きくなる為、オフシーズンなどに取り入れると良いかもしれませんね。
少し物理の授業の復習になりますが、運動の第三法則で作用反作用の法則というものがあります。かなりざっくりと説明すると、ある物体に10の力を伝えると同時にその物体から同じ10の力を受けるという法則です。但し、物体が外力による移動なく、かつ歪まないことがポイントで、力を伝える場所が砂のように軟らかい場合は与えた力が吸収される分、受けとれる力が少なくなります。その為にビーチ(砂の上)では与えた力をそのまま受けることが出来ずに前に進めず(ストライドの長さが短くなる)に足が遅くなる(走速度の減少)という状況に陥ってしまいます。また、MID-STANCEにおける股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4) 与えた力をうまく受け取れなかったことで股関節の角速度が減少した可能性もありそうですね。
今回は、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、次回はいよいよどうしたらビーチ(砂の上)で速く走ることができるのか!?という点について考えてみようと思います。
PS
沖縄にはビーチ(砂の上)を走りまくっているチームがあります!
不定期ではありますが、選手と一緒にビーチでボールを蹴れるチャンスもあるので要チェックです☆
ビーチ(砂の上)を走るのがどれだけ大変なことか体感することができますよ(;’∀’)
参考文献
Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011