#50 STAY HOMEしながら筋肥大!?自重トレーニングでの筋肥大に必要な負荷とは??

 緊急事態宣言が延長され、もうしばらく外出自粛の生活が続きます。筋は活動が減少したり、かかる負荷が減少したりすると萎縮してしまうため、「うちトレ」で「アストレ」を行って筋量を維持しましょうと前回のブログでお話しました。

 「うちトレ」でダンベルやバーベルを使える人は少なく、多くの人は自身の体重を使って筋に負荷をかける自重トレーニングを行っていると思います。自重トレーニングで筋肥大を引き起こすような負荷を筋にかけることはできるのでしょうか?今回のブログでは、自重トレーニングで筋を肥大させるために必要な負荷について考えてみたいと思います。

   

筋肥大にはあるレベル以上の負荷が必要!!

 Tanimotoら(2006)はレッグエクステンションマシンを使って8回×3セットの膝伸展運動を週3回行うトレーニングを12週間継続させ、トレーニングによって膝伸展筋群の横断面積が変化するかを調べました。

 その結果、最大挙上重量(1RM)の~80%の高負荷で行ったトレーニングでは、膝伸展筋群の横断面積が増加することが分かりました。一方、~50%1RMの低負荷で行ったトレーニングでは、膝伸展筋群の横断面積が増加しないことが分かりました。これらの結果から、筋を肥大させるには、あるレベル以上の負荷を筋にかける必要があることが分かりました。

   

筋肥大を目的としたトレーニングに適した負荷とは??

 筋力トレーニングを行う目的は、筋力向上、筋肥大、筋持久力向上に大別されます。トレーニングの目的に応じて筋にかける負荷を変える必要がありますが、それぞれの目的に適した負荷は下の表のようになります。

 筋肥大を目的としたトレーニングでは、最大挙上重量(1RM)の67/70~85%という中程度の負荷が適しています。67/70%1RM、85%1RMの負荷で可能な最大反復回数は、それぞれ12回、6回となります。尚、筋肥大ではなく神経系の機能改善による筋力向上を目的としたトレーニングでは、85%以上の高負荷が適しています。また、筋持久力の向上を目的としたトレーニングでは、67%1RM以下の軽負荷が適しています。

   

得られるトレーニング効果はひとつだけじゃない!!

 最大反復回数の少ない高負荷のトレーニングは筋力向上、最大反復回数の多い軽負荷のトレーニングは筋持久力向上に効果的です。よって、高負荷のトレーニングの主な効果は筋力向上、軽負荷のトレーニングの主な効果は筋持久力向上となります。しかし、下の図に示したように、ある負荷で得られるトレーニング効果はひとつだけでなく、主なトレーニング効果に加えて補助的なトレーニング効果も得ることができます。例えば、最大反復回数の少ない高負荷のトレーニングで最も効果が得られるのは筋力向上ですが、筋肥大や筋持久力向上に関してもそれなりの効果が得られます。

   

自重トレーニングで筋を肥大させるためには??

 筋を肥大させるためには、あるレベル以上の負荷を筋にかける必要があります。ダンベルやバーベルを使わず、自身の体重を使って筋に負荷をかける自重トレーニングを「うちトレ」で行った場合、筋肥大に必要な負荷を筋にかけることはできるのでしょうか?

 筋肥大を目的としたトレーニングに適した負荷は、最大挙上重量(1RM)の67/70~85%の中程度の負荷と言われています。よって、筋肥大に必要な最低限の負荷は、最大挙上重量の67/70%の負荷であると考えられます。67/70%1RMの負荷を用いた場合、反復できる最大回数は12回と言われています。これらのことから、自重トレーニングの最大反復回数が12回以下であれば、筋肥大を期待できる負荷になっていると考えられます。よって、最大反復回数が12回以下の自重トレーニングを90秒前後の休息時間を挟みながら、3~6セット行うことで、筋肥大を目的としたトレーニングになると思われます。

   

おわりに

 今回のブログでは、自重トレーニングによって筋肥大を引き起こすために必要な負荷について考えてみました。具体的な自重トレーニングの方法は、下記のスポーツおきなわのYouTubeチャンネルでご紹介しています。是非ご覧下さい。

https://www.youtube.com/channel/UCxNx7HULFWehXu6FXdZGLwg/featured

 外出自粛期間中に行う「うちトレ」の目的を「コロナ太り防止」や「筋量減少の防止」から「筋肥大」に変えてみてはいかがでしょうか?外出自粛明けにムキムキボディで登場し、友達や同僚をザワつかせましょう!(笑)

   

参考文献

・Tanimoto M, Ishii N. Effects of low-intensity resistance exercise with slow movement and tonic force generation on muscular function in young men. J Appl Physiol 100(4): 1150-7, 2006.

・Sheppard JM, Triplett NT (篠田邦彦, 岡田純一監修). レジスタンストレーニングのためのプログラムデザイン. NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング 第4版, ブックハウス・エイチディ, 東京, 479-512, 2018.

・有賀誠司. 筋力トレーニングのプログラム作成. トレーニング指導者テキスト 実践編 改訂版, 大修館書店, 東京, 38-53, 2014.

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