前回のブログでは、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、今回からビーチ(砂の上)で速く走る為にはどうしたらよいのか?について考えてみようとます。
ビーチ(砂の上)で足が遅くなる理由として下記2つの可能性が挙げられました。
*砂の上ではストライドの長さが短くなる。
*ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなる。
実際にビーチ(砂の上)を走っている時の動きと陸上での動きを比べてみたところ、接地局面においてビーチ(砂の上)では陸上に比べ重心が低く、体幹が前に傾き(Figure 2)、足が離れる局面においては股関節の伸び(伸展)が少ない傾向にあるようです。(Figure 3) また、 中間位(Tmid)における股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4)
*点線が陸上、直線が砂の上
*(B)砂の上では膝の角度が減少する(よりしゃがみ込むような動き)ことから重心が低くなっていると推測。
さらに細かい動きの違いについて確認してみようと思います。
足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が股関節と膝関節がより曲がって(角度が小さい)います。
足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が足が跳ねて(足関節の角度が大きい)います。
*こちらに関しては、ビーチサッカーの監督さんが足を刺すような感じで走っているとおっしゃっていたので実際の感覚と現象が一致しています!
最後に前回と今回の内容をまとめてみました。
ポイント①
ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなることで、
流れ① 中間位(Tmid)における股関節のスイングのスピード(角速度)が遅くなる
流れ② 砂の上ではストライドの長さが短くなる(ピッチは変化しない)
流れ③ 結果として平均走速度が減少する。
※股関節の角速度の5–34% の減少は水平方向への速度の7-22%減少と一致。
ポイント②
ビーチ(砂の上)では接地の際の体のポジションが陸上とは異なる
現象① 体幹が前に傾く
現象② しゃがみ込むような動き(膝の角度が減少)で重心が低くなる
現象③ 接地時の各ポジションの足関節の可動域が大きい(足首が跳ねる)
次回は、ポイント①とポイント②を踏まえた上でビーチ(砂の上)で速く走る方法について引き続き考えていきたいと思います。
PS
結局、次回につづくになっていましましたね(;’∀’)
参考文献
Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011