#39 ビーチで速く走ろう! とりあえず最終回!!

前回のブログから何だかんだ時間が経ってしまいました(;’∀’)

あれから色々と考えてみた結果、これがテッパンの走り方です!という答えはでず。。(スイマセン)

ただ、いくつか考えを整理してみたので前回からの内容も踏まえてご紹介させて頂けたらと思います。

前回のおさらいを踏まえて考えてみる

おさらい①

ビーチ(砂の上)では与えられた力が吸収された分、受け取れる力が少なくなり結果として平均速度が減少する。

上記から平均速度の減少を抑えるためには

ポイント①

吸収される力を出来る限り少なくすることで、受け取れる力が減少するのを抑える。

ポイント②

現状より大きな力を与えることで、結果的に受け取れる力を大きくする。

と考えることもできます。

おさらい②

ビーチ(砂の上)での接地は陸上に比べて、体幹の前傾と膝の角度が減少することで重心が低くなる。各接地のポジションにおける足関節の可動域は陸上に比べて大きい。

上記の現象がなぜ起こっているのか、可能性を考えてみました。(かなり主観的な考えではありますが。。)

なぜ、体幹の前傾が起こっているのか?

⇒足が砂に接地した後、重心移動と共に少しずつ足が沈み込む現象が起こり、最終的に力を伝えるポジションでは、砂面が斜め(スターティングブロックのようなイメージ)になっている=伝える力の方向が後ろ斜め下方向となり、

ポイント③

前傾ポジションをとった方が効率良く地面からの反力を受けとれる可能性が高いと考えられる。

注意:画像はイメージが伝わりやすいようにかなり前傾姿勢となっていますが、実際はそこまで前傾にはなっていません。

なぜ、しゃがみ込むような動きで(膝の角度が減少)重心が低くなっているのか?

⇒砂に足が接地した後、体全体が地面に沈み込む(外乱を受ける:制御系の状態を乱そうとする外的作用を受ける)ことでバランスが崩れることを想定し、

ポイント④

重心を下げることで外乱に対応してバランスをとるという体の姿勢制御が関係している可能性が考えられます。

バランスをとる際に腰を落とイメージ

なぜ、他各接地のポジションにおける足関節の可動域が陸上に比べて大きいのか?

ポイント⑤

重心移動と共に接地面が常に動くことから陸上よりも足関節が大きく動く必要があると考えられます。

まとめ

  結局のところ、ビーチ(砂の上)で速く走る為にこれがベストな方法です!という結論には達していませんが、各ポイントからいくつかのヒントを得ることが出来たのでは?と感じています。

ポイント①より

接地の際に足の指で砂をギュッと掴んだり、足を突き刺したりすることで砂地盤の密度を高める与えた力を受け取りやすくなる)ことが平均速度の減少を抑制できる可能性があると考えられます。

ポイント②より

お尻(臀部)、股関節屈曲筋群(主に腸腰筋)、膝を伸ばす筋(大腿四頭)、膝を曲げる筋(ハムストリング)の筋力強化により股・膝関節の屈曲/伸展パワーを上げることで、現状よりも受け取れる力を大きくすることで平均速度の減少を抑制できる可能性があると考えられます。

ポイント③より

体幹強化により前傾姿勢を保つ(体の重心を地面から力を受け取りやすい位置に置く)ことで地面から反力を効率よく前方向の推進力へと繋げることが出来そうです。

ポイント④より

接地の際に意識的に重心を下げることは安定した力発揮(不必要な重心の動揺を避ける)に必要不可欠なテクニックだと考えられます。但し、重心を下げることで余分にエネルギーを使う可能性がある為、ポイント②同様に筋力を強化する必要がありそうですね。

ポイント⑤より

重心移動と共に接地面が常に変化する為、陸上とは異なるテクニックで走る必要がありそうです。

PS

今後も何か現場で気づいたことやアップデートがあればご紹介させて頂きますね!

#38 ビーチで速く走る為のコツってなに!?その①

前回のブログでは、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、今回からビーチ(砂の上)で速く走る為にはどうしたらよいのか?について考えてみようとます。

前回のおさらい

ビーチ(砂の上)で足が遅くなる理由として下記2つの可能性が挙げられました。

*砂の上ではストライドの長さが短くなる。

*ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなる。

ビーチ(砂の上)と陸上での動きの違い

実際にビーチ(砂の上)を走っている時の動きと陸上での動きを比べてみたところ、接地局面においてビーチ(砂の上)では陸上に比べ重心が低く、体幹が前に傾き(Figure 2)、足が離れる局面においては股関節の伸び(伸展)が少ない傾向にあるようです。(Figure 3) また、 中間位(Tmid)における股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4)

*点線が陸上、直線が砂の上

*(B)砂の上では膝の角度が減少する(よりしゃがみ込むような動き)ことから重心が低くなっていると推測。

さらに細かい動きの違いについて確認してみようと思います。

  • 股関節と膝関節の角度関係

足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が股関節と膝関節がより曲がって(角度が小さい)います。

  • 足関節の角度

足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が足が跳ねて(足関節の角度が大きい)います。

*こちらに関しては、ビーチサッカーの監督さんが足を刺すような感じで走っているとおっしゃっていたので実際の感覚と現象が一致しています!

最後に前回と今回の内容をまとめてみました。

ポイント①

ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなることで、

流れ① 中間位(Tmid)における股関節のスイングのスピード(角速度)が遅くなる

流れ② 砂の上ではストライドの長さが短くなる(ピッチは変化しない)

流れ③ 結果として平均走速度が減少する。

※股関節の角速度の5–34% の減少は水平方向への速度の7-22%減少と一致。

ポイント②

ビーチ(砂の上)では接地の際の体のポジションが陸上とは異なる

 現象① 体幹が前に傾く

 現象② しゃがみ込むような動き(膝の角度が減少)で重心が低くなる

 現象③ 接地時の各ポジションの足関節の可動域が大きい(足首が跳ねる)

次回は、ポイント①とポイント②を踏まえた上でビーチ(砂の上)で速く走る方法について引き続き考えていきたいと思います。

PS

結局、次回につづくになっていましましたね(;’∀’)

参考文献

Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011

#37 ビーチ(砂の上)で走ると足が遅くなるのはなぜ?

ここ最近、全国のお天気ニュースでは桜の開花情報と共に暖かい日々が増えてきましたね。沖縄は全国で一番桜の開花時期が早い為、残っている桜はほんのわずかで、 春をすっ飛ばしていよいよ夏本番!といったところです。実際に沖縄県内のいくつかのビーチでは海開きがスタートしています。

今回はビーチ環境に恵まれた沖縄ならではの疑問、ずばり “ビーチ(砂の上)で走ると足が遅くなるのはなぜ?”について考えてみました。

陸上に比べて足が遅くなるのはなぜ?

100m,200m競技に参加レベルの選手(平均年齢21±6/男性5名/11.0±0.4秒、19±2/女性5名/12.6±0.3秒)が砂の上と陸上の上でそれぞれ30m走を走った際のデータがあるのでご紹介させて頂きます。

男女共に30m走の平均速度が砂の上では陸上に比べて男性で15.8%,・女性で12.4%減少という結果になりました。この結果に関してはみなさんの経験上容易に想像ができたと思います。

走速度=ストライド×ピッチとなりまずが、興味深かったことは、砂の上ではストライドの長さは短くなるもののピッチは陸上と大きく変わらなかったという点です。(個人的にはどちらも陸上に比べてパフォーマンスが下がっていると思っていました)

もし、ビーチ(砂の上)で陸上と同じパフォーマンスを保つ為にはピッチをあげないといけないということになります。

イメージとしては、陸上と同じように足を動かしているはずなのに前に進むことができないといったところでしょうか。
↓こんな感じ!?

砂の上ではストライドの長さが短くなることでゴールまでの歩数が増え、陸上に比べて余分にエネルギーを使うこととなります。発想を変えてみると、体に負担(負荷)がかかるという点では良いトレーニングになるということが言えるでしょう。シーズンど真ん中のトレーニングとしては、負担が大きくなる為、オフシーズンなどに取り入れると良いかもしれませんね。

なぜビーチ(砂の上)では前に進めないの?

少し物理の授業の復習になりますが、運動の第三法則で作用反作用の法則というものがあります。かなりざっくりと説明すると、ある物体に10の力を伝えると同時にその物体から同じ10の力を受けるという法則です。但し、物体が外力による移動なく、かつ歪まないことがポイントで、力を伝える場所が砂のように軟らかい場合は与えた力が吸収される分、受けとれる力が少なくなります。その為にビーチ(砂の上)では与えた力をそのまま受けることが出来ずに前に進めず(ストライドの長さが短くなる)に足が遅くなる(走速度の減少)という状況に陥ってしまいます。また、MID-STANCEにおける股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4) 与えた力をうまく受け取れなかったことで股関節の角速度が減少した可能性もありそうですね。

今回は、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、次回はいよいよどうしたらビーチ(砂の上)で速く走ることができるのか!?という点について考えてみようと思います。

PS

沖縄にはビーチ(砂の上)を走りまくっているチームがあります!

不定期ではありますが、選手と一緒にビーチでボールを蹴れるチャンスもあるので要チェックです☆

ビーチ(砂の上)を走るのがどれだけ大変なことか体感することができますよ(;’∀’)

http://www.solmarpraia.com/

参考文献

Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011