#47 トップのラグビー選手、ジュニア時代はこうだった !!6つのポイント その②

 ワールドカップラグビーは、南アフリカの勝利で幕を閉じました!日本がもし南アフリカと対戦していなければ、、なんて思ったファンの方も多かったのではないでしょうか? 改めてこれからの日本代表の活躍が楽しみになってきましたね!4年後が待ちきれません!! 今回は前回に続き、ワールドカップ熱でジュニアの競技人口が増えてきたであろうタイミングで指導者の方々にシェアさせて頂きたい内容をご紹介させて頂きます。

③スピードは13-15歳の間に伸び率が高くなる!

 スピードに関しては、エリート選手がその他の選手に比べて速く、全体的にはバックスの選手がフォワードの選手に比べて速いことが分かっています。年代別に比べてみると13歳と15歳のカテゴリーにおいて伸び率が高く、これは身長の伸び率や成長のタイミングがストライド長やピッチの向上に関係することが影響していると考えられます。60m走では、晩熟の選手が13-15歳の間に数値が向上し、16歳以上のカテゴリーでは、スピードトレーニングのトレーナビリティが低くなることもわかっています。これは身長の伸びが落ち着いた後に体重が増えてくるという成長要因が関係していると考えられます。このことから、16歳以上の選手は身長や体重などのコンディションをモニタリングしておくことは非常に重要だと考えられます。ある程度、年齢が低い時期には体重とスピードの両方を伸ばすことができるが、成長と共に体重が増えていく過程でいかにスピードを維持できるのかがシニアで活躍する為のポイントとなりそうです。

④方向転換能力は特異的な刺激が重要!

 ポジション別では、バックスとフォワード間において方向転換能力に関しては大差はなく(プロップを除く)、スピード同様年齢(特に13~15歳カテゴリーの伸び率が高い)と共に伸びることが分かっています。エリート選手とそれ以外の選手の5-0-5アジリティテストの数値を比較したデータもある為、ご参考頂けたらと思います。(エリートvs サブエリート 2.38±0.08秒 vs 2.68±0.08秒)プロップは、他のポジションに比べて方向転換能力が低いこともあり、キャリアが短くてもポジションに必要な能力が備わっていることでトップレベルで活躍できるチャンスは高い傾向にあるようです。(遅い時期でも他競技からタレント発掘が出来そうですね)方向転換能力はトップリーグで活躍する為に必要不可欠な能力となることから、ジュニア期はシンプルな方向転換能力以外にも競技特異的な刺激を含んだ方向転換能力を獲得しておくことが重要だと言えそうです。

まとめ

 スピードや方向転換能力(加速・減速を含む)は、大きく伸びる時期がある程度決まっているようなので、その時期までに如何に多くのスキルを身に着けることができるかがトップで成功する為のカギとなりそうです。成長と共に、パフォーマンスの伸び率に変化が起こるということを指導者が理解しておくことは、ジュニア期を指導する上で、戦術やスキル指導同様重要なことかもしれませんね。

P.S.

次回は、ジュニア期の筋トレや有酸素運動に関してご紹介させて頂きます(^-^)。

参考文献 Kevin Till,Sean Scanthebury, Ben Jones. Anthropometric and Physical Qualities of Elite Male Youth Rugby League Players. Sports Med 47:2171-2186. 2017.

#46 トップのラグビー選手、ジュニア時代はこうだった !!6つのポイント その① 

我らが日本代表、残念ながら南アフリカに負けてしまいました。。しかしながら、南アフリカは準決勝でウェールズ代表を破り決勝にコマを進めてくれました!しかも、決勝の相手は名将エディー・ジョーンズ監督(前回大会の日本代表監督)率いるイングランドです。そんな盛り上がりをみせているラグビーですが、各地で開催されている子供向けのラグビー教室も人気のようで、将来ラグビー日本代表を夢見る子ども達が増加中とのこと。そこで、今回はこれからラグビーを始める子ども達と関わる指導者向けに参考になる情報をシェアさせて頂こうと思います。

 ジュニア期 (13-20歳)の選手がどういった体の特徴を持っていて、その後どのようにキャリアを積んでいったのかについて紹介している論文があったのでシェアさせて頂きます。データは、ヨーロッパのスーパーリーグやオーストラリアのナショナルラグビーリーグ(13人制)を基準としている為、今回のワールドカップラグビー(15人制)とは単純に比較できない部分はあるかとは思いますが参考になればと思います。

① 昔からサイズが大きかったわけではなかった!?

ジュニア期(13-20歳)は、身長・体重ともに年齢と共に増加傾向にあり、エリート選手がそれ以外の選手に比べ数値は高く、ポジション別にみるとフォワードの方がバックスに比べて身長が高い傾向にあるようです。13-15歳のカテゴリーにおいて、身長・体重の変化量が大きいことも分かっています。

16歳以下のカテゴリーにおいて、エリート選手とそれ以外の選手では、身長・体重ともに大きな違いがない (エリート178.8±5.9cm, 77.5±10.0kg, サブエリート 175.2±6.9cm, 72.3±11.7kg) ことが分かっており、リーグのレベルが高くなるにつれて、サイズの違いがより顕著となります。

実際に、プロになった選手とアマチュアになった選手が13-15歳以下のカテゴリーだった時期を比べてみると、身長・体重共に14歳では差がなかったという点に関しては興味深い内容だと言えます。しかしながら、同じサイズでも下半身に関しては将来プロになった選手の方がサイズが大きかったようです。この時期は、同じ体重であっても下肢がしっかりとしているかどうかが将来成功する為のカギを握っているかもしれませんね。ジュニア期に関して、身長・体重とタックルのスキルとはダイレクトに関係しない為、16歳以下までは体のサイズを積極的に大きくする必要はなさそうだということも今回の論文では言及されていました。

② 下肢の皮下脂肪が将来成功するカギを握っている!

 皮下脂肪に関しては、 エリート選手はそれ以外の選手に比べて低く、ポジション別にみるとバックスの選手がフォワードの選手 に比べて低いことがわかっています。身長と体重が成長と共に安定した後では、バックスの選手はアカデミーレベルとプロレベルの選手との間に大きな差がない (13.7±1.6kg vs 12.6 ±1.1kg) こともわかっています。しかしながら、フォワードに関しては、プロ選手はアカデミーレベルに比べ、皮下脂肪(アカデミーレベル 19.3±1.6kg vs プロ 15.4±1.1kg)や骨量に関して大きな違いがみられ、その中でも下肢の皮下脂肪に関しては顕著な差があったようです。13-15歳のカテゴリー時期においては、プロになった選手はアマチュアになった選手と比べ、皮下脂肪が低い(33.4±9.8mm, 41.6±18.2mm)傾向にあったということを踏まえると、皮下脂肪がつきづらく且つ筋肉量が増えやすいという身体的な特徴を持った選手がトップレベルに上がっていく可能性も高くなりそうですね。指導者側がリーグのレベルやポジションに応じた最適な体脂肪率を抑えておくことが質の高い強化に繋がっていきそうです。

まとめ

今回は、ラグビー選手のジュニア期に注目した論文をご紹介させて頂きましたがいかがでしたか? ジュニア期の成長特性やその後選手がどのレベルまで到達したのかを知っておくことは育成や強化の手助けとなります。指導者の方々にも是非ご参考頂ければ幸いです。 その②はスピード・加速・減速・方向転換に関してご紹介させて頂きます!

参考文献 Kevin Till,Sean Scanthebury, Ben Jones. Anthropometric and Physical Qualities of Elite Male Youth Rugby League Players. Sports Med 47:2171-2186. 2017.

#45 ラグビーワールドカップは得点源の”バックス”に注目!!

 #45では、ラグビーの“フォワード”のポジションについてご紹介させて頂きました。そして今回は、もう一つのポジション”バックス”について情報をシェアさせて頂こうと思います。

“バックス”ってどんなポジション?

 “フォワード”は大柄で強いフィジカルが要求されると#44でお話させて頂きましたが、それに対して“バックス”はスリムで小柄な選手が多い傾向にあります。 フォワードが獲得したボールをいかに得点に繋げるかが大きな役割となり、スピード、敏捷性が要求されるポジションです。

“バックス”は“フォワード”に比べて小柄!!

実際に日本代表選手の身長/体重/BMI(身長体重比)をまとめてみると、“フォワード”で1番身長が高い選手はトンプソンルーク選手の196cm、最も体重が重たい選手は具智元選手の120kg、平均は身長186.7cm、体重109.4kg、BMIが31.46となっています。 “バックス”で1番身長が高い選手は山中亮平選手/ウイリアム・トゥポウ選手の188cm、最も体重が重たい選手はアタアタ・モエアキオラ選手の114kg、平均は身長178.4cm、体重889.6kg、BMIが28.03となっています。”バックス”は“フォーワード”に比べて、平均身長で-8.3cm、平均体重で-19.8kg、平均BMIは-3.43となり、全体的にサイズは小さくなることで、スピードや敏捷性を獲得できていると考えることができます。(手足が長すぎると振り回すのに余分にエネルギーを使い、体重が重すぎると移動するのに効率が悪い。)

“バックス” 5つのポジションをおさえておこう!!

  • 背番号9番 スクラムハーフ(SH)

 スクラムで密集した中から、味方に素早くボールをパス、もしくはキックするのがこのポジションの役割で、ボールをどこに展開していくのかという頭脳(戦略)と常にボールと共に動く為のスタミナも要求されます。流大選手や田中史郎選手がこのポジションとなります。

  • 背番号10番 スタンドオフ(SO)

 キックイメージが強いポジションですが、スクラムハーフからボールを受け取り、ラン/パス/キックのどの攻撃を選択するのかといった司令塔の役割を担う為、ラグビーIQ・スキルとも高いポジションとなります。みなさんもご存じ、現在得点王の田村優選手がこのポジションとなります。

  • 背番号12・13番 センター(CTB)

 攻撃では相手を振り払いながら敵陣へ切り込み、タックルをされながらパス(オフロードパス)を決めたり(スコットランド戦では倒れながらのオフロードパスが光っていました)、守備では体を張って相手を止める役割を担っています。

  • 背番号11・14番 ウィング(WTB)

 ウィング(翼)と名付けられるポジションだけあり、味方が繋いできてくれたボールを得点につなげるフィニッシャーの役割となります。鋭いカッティングでディフェンスの間を切り抜けるタイプとパワーでディフェンスをなぎ倒していく2タイプの選手がいます。福岡堅樹選手のスピード感あふれるフレーとトライには目を見張るものがあります!

  • 背番号15番 フルバック(FB)

もっとも後ろに位置するのがこのポジションで、最後の砦となりキックで陣地を挽回したり、最後尾からカウンターをしかけアタックしたりするのがこのポジションとなります。高速、松島幸太郎選手のカウンターに期待です!

まとめ

 今回は“バックス”(背番号9~15番)のポジションに関する基本情報をご紹介させて頂きましたが如何だったでしょうか?”バックス”の選手と“フォーワード”の選手との体格の違いや、各ポジションの特徴、あなたの好きなプレースタイルや選手をみつけることで、明日の南アフリカ戦を楽しんで頂けたら何よりです!!

P.S.

明日の試合では、日本代表の勝利 & 福岡・松島選手の高速トライに期待しています!

参考資料 
https://rugby-juku.com/rugbyworldcup-japanmember/#2HO
https://www.jsports.co.jp/rugby/about/guide_position/  https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00530/?pnum=1

#44 ラグビーワールドカップ、縁の下の力持ちは”フォワード”陣!!

 日本代表チームが歴史的勝利を重ね、ワールドカップラグビーも大盛りあがりです!憧れの選手をみて、自分もラグビーを始めたい!日の丸を背負ってがんばりたい!と思っているジュニア選手が増えたのではないでしょうか。今回は、ラグビーの基本情報をフィジカル面をあわせてご紹介しようと思います。

試合中の運動量は4~8km!!

 ラグビーの試合は前半40分・後半40分の合計80分となり、スプリント(高強度運動)の合間にジョグやリポジショニング(低強度運動)などを挟みながら、間欠的な運動が繰り返し行われています。試合中の移動距離はポジションにもよりますが、4000m~8000mとなり、そのうちの1000mは短い距離を速いスピードで移動すると同時にディフェンス時にはタックル、オフェンス時には相手からのコンタクトへの対応能力も要求されます。数値からみても、過酷なスポーツだということがわかります💦

ラグビーのポジションは大きく分けて2つ!!

 ラグビーは8人の“フォワード”と” 7人の“バックス”の2つのグループ(合計15人)から成り立っています。 “フォワード”は、主にスクラムを組んだり、ラインアウトで敵とボールを奪い合ったり、”バックス”が捕まればヘルプに向かうなど、身を削る役割が多いポジションとなります。 “バックス”は”フォワード“に比べスリムで、確保したボールを攻撃に結び付ける為にも俊敏性が必要なポジションとなります。

“フォワード” 5つのポジションをおさえておこう!!

  • 背番号1・3番 プロップ/PR

   スクラムの柱で、スクラムでゴリゴリ押しまくったり、モールで相手を押し込んだりと泥臭い仕事をこなす為にもパワーと忍耐が必要となるポジションで体重も高重量となります。あの”決して笑わない男 ” と言われている稲垣啓太選手がこのポジションとなります。

  • 背番号2番 フッカー/HO

 スクラムのど真ん中で、足でボールを後ろに送ったり、スクラム全体をコントロールしたりと非常に重要なポジションとなります。ラインアウトではボールを良く投げ入れることもある為、パワーと器用さの両方が求められます。
堀江翔太選手がこのポジションとなります。

  • 背番号4・5番 ロック(LO)

 ラインアウト時に空中でボールをキャッチする為、長身で大柄なのがこのポジションの特徴です。地上では、大柄な体格を活かし、仲間をサポートしたり、ボールをもって突進したりします。

  • 背番号6・7番 フランカー(FL)

 スクラムでは、サイドに位置しいつでも飛びだせるポジション。攻撃ではボールに絡み、守備ではタックルした相手からボールを奪う(ジャッカル)ことから、強さと速さとそれを持続させる能力が求められ、とにもかくにも運動量が豊富なポジションとなります。 我らが日本代表キャプテン・リーチマイケル選手がこのポジションとなります。

  • 背番号8番 ナンバーエイト(NO8)

 スクラムの一番後ろから”フォワード”に的確な指示を送る役割。攻守にわたり活躍することから総合的なスキルや体力が要求されるポジションです。

まとめ 

背番号1~8番の選手は”フォワード”と呼ばれ、コンタクトや衝突も多いことから大柄且つフィジカルの高さが要求されます。彼らが体を張って敵とボールを奪い合い、味方が捕まれば駆けつけて身を削りボールを死守する姿は正に縁の下の力持ち!!各ポジションの役割や特徴を知ることでより試合を楽しむことができると思います! 次回は“バックス” についてご紹介させて頂きますね(^_-)-☆

P.S.

次の南アフリカ戦は、勝利は勿論、我らが日本代表キャプテン・リーチマイケル選手のジャッカルにも期待です!!

参考資料 
https://rugby-juku.com/rugbyworldcup-japanmember/#2HO  
https://www.jsports.co.jp/rugby/about/guide_position/

#42 目指せNBA選手!ジャンプ力を上げる3つの秘策とは!? その②

最近は、日本人選手がNBAに挑戦する機会が増え、バスケットボールファンのみなさんにとって、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックが待ち遠しくて仕方ないのでは!? ちなみに私の知人はバスケットボール男子決勝のチケットが当選した!!!!!とのこと。羨ましい限りです(;’∀’) さぁ、あなたも2020年の東京に向け、モチベーション、ジャンプ力共にあげていきましょう!

前回のブログ内容では、高くジャンプできる選手の体のバランスを把握しましょう!という点についてお話しましたが、今回は具体的にどのようなトレーニングを行っていくとジャンプ力があがるのか!?について情報をシェアさせて頂きます。

ジャンプをする際に反動動作を使った方が、より高く飛べる!という経験をお持ちのアスリートは多いのではないでしょうか!? イメージとしては、弾力のある輪ゴムを引き延ばすことでより遠くまで飛ぶという現象に似ていて、筋肉も伸ばした後に縮めることで筋の長さが変化していない状態から縮めるよりも、大きな力やパワーを発揮できるようになっています。これは、筋肉が急激に伸張されることで、伸張反射( 脊髄反射の一つで、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象 )が起こることなどが関係しています。この様に、短時間で筋が伸ばされ素早く収縮するような運動を専門用語で”伸張-短縮サイクル (Stretch-Shortening Cycle:SSC)運動と呼んでおり、SSCを利用したトレーニングのことをプライオメトリクストレーニングと呼んでいます。代表的なプライオメトリクストレーニングのエクササイズとして、スクワットジャンプ / リバウンドジャンプ/ ボックスジャンプ / バウンディングなどが挙げられます。

プライオメトリクストレーニングを行うことで、上肢・下肢共にパワー発揮が向上し、バスケットボールのスキルでいうところのチェストバスのスピード、方向転換を伴うフットワークやダッシュのスピード、ジャンプ力などの向上などが期待できます。

その他、プライオメトリクストレーニングのメリットとして、以下2つのことが挙げられます。①つ目は、体の使い方を覚えるという点で力発揮の効率が悪かった選手にとっては、動きを改善することで割と早い段階で効果が出やすいというメリットがあります。②つ目は、筋力トレーニングなどに比べて、筋肥大がおこりずらいというメリットがあり、階級制その他体のバランスを崩さずにパフォーマンスを向上させたい選手にとってはおススメのトレーニング法となります。但し、プライオメトリクストレーニングを行う際にはある程度のテクニックが必要なことや強度(体にかかる負担)やボリューム(種目・回数・セット・頻度)をうまくコントロールしながら実施しなければならない為、無理はせずに、足首・膝・手首・肩、その他の関節に痛みが起こらない強度とボリュームでスタートするようにしましょう。

プライオメトリクストレーニングの一般的なボリュームとして、初心者は 50-80コンタクト(足が地面と接地する回数)から始め、80-100コンタクトに増やし、ある程度のレベルの選手は120-140コンタクト前後で行い、強度の高い種目を行う際には1回のセッションあたりで200コンタクトは超えないように注意をする必要があります。休息に関しては個人差もありますが、セッションの間は48-72時間程度とることを基本とし、チームの練習内容や自身の体調と相談しながら、負担のない範囲内で実施することをおススメします。

PS

東京オリンピック・男子バスケットボールも楽しみですが、女子の3×3では沖縄県出身選手の伊集選手の活躍にも期待です(^^)/

参考資料 
https://us.humankinetics.com  
George Davies, Bryan L. Riemann,FNATA,and Robert Manske. CURRENT CONCEPTS OF PLYOMETRIC EXERCISE. Int J Sports Phys Ther. 2015 Nov; 10(6): 760–786.
https://www.jpnsport.go.jp

#40 ウォーミングアップにおける3つのポイントが選手を大きく育てる!!

最近、指導の流れからウォーミングアップはどうしたら良いですか?とよく聞かれることがあります。

そして、私達も何がベストな方法だろうかと日々、模索しながら活動しているのですが、ウォーミングアップ対しての考え方をまとめてみたのでご紹介させて頂きます。

すばり、ウォーミングアップにおける3つのポイントとは!!

⇒ ルーチン(ルーティン)化に伴うリスクを頭にいれておく

⇒ 個に合わせて組み立てる

⇒ 適度にこだわる

ルーチン化に伴うリスクを頭にいれておく

冒頭で書いた通り、指導先でウォーミングアップを作成して頂けますか?と相談を受けることがあります。勿論、教育及び、情報共有として一通りのウォーミングアップをお伝えさせて頂きますが、あくまでも各エクササイズは方法論であって、必ず実施しなければならないものではありません。とお話をさせて頂きます。具体的には、“ワールズグレーティストストレッチ” https://youtu.be/TVItENA9mEAを紹介したからといって、その選手がその時に必要がないと判断した場合は行う必要はないですよと話します。勿論、ルーチン化することでうっかり忘れを未然に防いだり、エクササイズを学習している段階では覚えるのに効果的かもしれませんが、それと同時にウォーミングアップ本来の目的を忘れてしまうリスクがあることにも目を向ける必要があります。つまり、ウォーミングアップをすることが目的になってしまわないようにパフォーマンス向上の為に今何が必要なのかを常に考えて内容を組み立てる必要があるという考え方です。

個に合わせて組み立てる

これは文字通りの意味で、各選手の年齢・性別・性格・ポジション・可動域・柔軟性・スピード・パワー・筋力 etcは様々でそれぞれに合ったウォーミングアップがあるという発想です。チームスポーツの場合には、フォーメーションのすり合わせ等で全員一緒に行う方が良い内容もありますが、全員で行うことで逆に効率を下げてしまっている可能性もあるます。今現在なんとなく行っている(昔から実施している。それが良いと思い込んでいる。Etc)ものについて再度考え直してみると新しい発想が生まれるかもしれませんね!

適度にこだわる

これについては、ルーチンの話と関連があるのですが、ルーチンを決めてしまった時点で、ウォーミングアップに要する時間も決まってしまいます。しかしながら、現実はどうでしょう、前の試合時間や天候の影響で開始時刻が延びたり、ウォームアップエリアの混雑や渋滞の影響で予定よりも悪い環境下で準備をしなければならなかったり、想定外のことが起こり得る可能性があります。予定のルーチンを実行できなかったことでイライラが募ると試合に集中できる確率も下がります。すべてのことを完璧にこなすことよりも、与えられた環境の中で最低限必要なことに優先順位をつけ、それ以外に関しては適度にこだわるというスタンスも必要かもしれません。

理想のウォーミングアップとは?

その日の体調、天候、試合スケジュール(時間)等、与えられた環境は目まぐるしく変化します。

そんな中、自身の状態(コンディション)に合った最適なウォーミングアップについて自問自答し、実行できる選手は成長し続け、最終的に成功する確率が高まると思います。結局のところ理想のウォーミングアップは存在せず、その日のパフォーマンスが良ければ、それが結果的に良いウォーミングアップだったということになり、そのウォーミンアップが明日も使えるかどうかはわからないということです。

まとめ

ウォーミングアップには様々な考え方があって良いと思います。但し、それ自体が目的にならないことが重要で、教育や情報提供として様々な引き出しを与えつつも、方法論に囚われずに自分自身の目標や目的から逆算して、今やるべきことを明確にし、それを実行できる選手が育つ環境を整えることが指導者/コーチの果たすべき役割の一つだと感じる今日この頃です。

PS

今日は何々をしま~す。前回は15分、今回は10分あげるから自分でアップしてみて!(動けなかったら自己責任で。。)というアプローチを使ったりします。

勿論、色々な方法論は伝えた上でですが(^^;

#25 友達と練習は裏切らない?? バッティング練習を科学する

昨日で「2018年日米野球」が終わり、プロ野球はシーズンオフに入りました。

オフはファンにとって寂しい期間ですが、選手にとっては来シーズンに向けた練習を行う重要な期間です。

11月7日には「新語・流行語大賞」のノミネート語が発表され、「ダサかっこいい/U.S.A.」「(大迫)半端ないって」などと共に「筋肉は裏切らない」がノミネートされました。

「筋肉は裏切らない」は谷本道哉准教授が筋トレ指導を行うときのキメ台詞で、「筋トレを行えば筋肉は裏切らずに強く大きくなってくれる」ということです。

ただ、目的や方法を理解せずに筋トレを行ってしまうと、筋肉に裏切られてしまうかもしれません。

練習についても筋肉と同じことが言えるでしょう。

つまり、目的や方法を理解して行った質の高い練習は裏切らず、その成果が試合で発揮されます。

そこで今回は、少年野球選手のスイングに続いて「科学する野球」(平野祐一著)から「練習スイングを科学する」をご紹介します。

 

素振りの質を高めるために意識するべきこととは??

下の図は素振りを行ったとき(左)と実際の投球を打ったとき(右)に足が地面を押す力を測定したものです。

 右足と左足の力を足し合わせ、その力を右打者の前後(腹側-背側)、左右(投手側-捕手側)、上下の方向に分けて示してあります。

時間は左から右に経過していて、バットのたわみからスイングの開始やインパクトの瞬間を決めています。つまり、点線の間でスイングが行われています。

 

素振りと実際の投球を打ったときの足の力の振れ幅はよく似ています。

しかし、素振りは実際の投球を打ったときに比べて、スイング前やスイング中の力の振れ幅が小さいことが分かります。

このことから、この選手は実際の投球を打つときに似た素振りを行っていますが、より質の高い素振りを行うためには実際の投球を意識する必要があると思われます。

スイング前に足踏みをしてタイミングを取ったり、スイング中にしっかり足を踏み込んだりして素振りを行うのが良いでしょう。

 

素振りを行う目的は「スイングの回数を増やしてスイングスピードを高めること」です。

「インパクトしようとする位置にバットの芯を運ぶこと」を目的に素振りを行うこともあります。

そのような目的で素振りを行う場合には、どのコースへの投球をどの方向に打ち返すかを意識することが大切です。

 

ティーバッティング、フリーバッティングの質を高めるためには??

下の図は打撃の振るわない高校野球チームを対象にスイングスピードを測定した結果です。

横軸に素振りのスイングスピード、縦軸にティーバッティング(■)と実際の投球を打ったとき(〇)のスイングスピードが示してあります。

また、横軸と縦軸のスイングスピードが同じになるときのラインが図内の太線で示してあります。

この太線よりも■や〇が下に集まっていることから、素振りに比べてティーバッティングや実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことが分かります。

さらに、■に比べて〇が下に集まっていることから、ティーバッティングに比べて実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことも分かります。

 

ティーバッティングではボールの位置に合わせてスイングを行わなければならず、実際の投球を打つときにはタイミングも合わせなければなりません。

注意するポイントが増えた、すなわち求められる技術レベルが高くなった結果、スイングスピードが低くなってしまったと考えられます。

ティーバッティングや実際の投球に対するバッティングのスイングスピードを素振りのスイングスピードに近づけるためには、バッティングの技術レベルを高める必要があるでしょう。

そのためには、失敗を恐れず強く振ることを意識して、ティーバッティングやフリーバッティングを繰り返すことが大切だと思われます。

 

映像を活用してバッティング練習の質を高める

足が地面を押す力やスイングスピードを測定できれば良いのですが、そのために必要な測定機器は安価で手に入るものではありません。

しかし、最近ではスマートフォンを活用することで、スイング動作を撮影することは容易に行うことができます。

スマートフォンで撮影したスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができます。

 

具体的には、まずは試合での理想的な自身のスイング映像を入手します。

他の選手のスイングを参考にする場合には、その選手のスイング映像を入手します。

インターネットや衛星放送の発展のおかげで、最近ではメジャーリーガーの映像でさえ容易に入手できるようになりましたね。

その後、練習での素振り、ティーバッティング、フリーバッティングのスイング動作を撮影し、試合でのスイング動作と比較します。

試合と練習のスイング動作の違いを見つけ、試合でのスイングに近づけるよう意識してバッティング練習を行います。

このようにスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができるでしょう。

 

まとめ

試合を意識したスイング、試合に近いスイングを行うことでバッティング練習の質を高めることができ、そのような練習を繰り返すことで「練習は裏切らない」と言える成果が得られるでしょう。

 

P.S.

スポーツおきなわのトレーニングもあなたを裏切りません!!ᕙ(*´ω`*)ᕗ

 

参考資料

BBMスポーツ科学ライブラリー 科学する野球 バッティング&ベースランニング、平野祐一著、ベースボール・マガジン社

#24 短時間で効果絶大??海外で人気の日本発のトレーニングとは

11月10・11日にツール・ド・おきなわ2018が行われます。

一般社団法人スポーツおきなわでは、この大会にも出場するサイクリストをサポートする「サイクリストコンディショニングプログラム」を実施してきました。

このプログラムではパフォーマンスチェックの結果に基づき、各自に合ったコンディショニングプログラムを提供しています。

コンディショニングプログラムには高強度インターバルトレーニングやウエイトトレーニングなどが含まれています。

高強度インターバルトレーニングでは様々な方法を用いますが、「タバタトレーニング」という日本人の名を冠した方法も用いています。

そこで今回は、タバタトレーニングの概要と注意点をご紹介したいと思います。

 

タバタトレーニングとは??

タバタトレーニング(プロトコル)とは日本人の運動生理学者・田畑泉教授らが1990年代に発表した論文に由来するもので、海外で知名度を上げた後、ここ数年で逆輸入の形で日本に入ってきました。

 

田畑教授らの論文では「10秒の休息を挟んで20秒間の高強度の運動を6~7セット行って疲労困憊に至るような運動」を行っています。

これをベースにした「10秒の休息を挟んで20秒間の高強度の運動を8セット、すなわち4分間行って疲労困憊に至るような運動」がタバタトレーニングとして世界中で広まりました。

 

タバタトレーニングの効果は??

タバタトレーニングを行うことによって「最大酸素摂取量」と「最大酸素借」を向上させることができます。

最大酸素摂取量」とは1分当たりに摂取することができる酸素の最大値のことで、有酸素性エネルギー供給機構すなわち「持久力」の指標となります。

「最大酸素借」とは無酸素性エネルギー供給機構が供給できるエネルギーの最大値のことで、「中距離能力」の指標と考えることができます。

つまり、タバタトレーニングによって「持久力」と「中距離能力」の両方を向上させることができるのです。

 

1日1回(6~8セット)のタバタトレーニングを週に2回、それを6週間以上継続することで、タバタトレーニングの効果を得ることができます。

また、最大のトレーニング効果を得るためには、6~8セットの運動で疲労困憊まで追い込むことが重要です。

 

タバタトレーニングを安全に行うために

タバタトレーニングは強度の高いトレーニングですので、次のようなことに注意して安全にトレーニングを行うように下さい。

・血圧が高い、関節に異常があるなど健康状態に問題がある場合、トレーニングを始める前にメディカルチェックを受けるようにする。

・身体の準備とケアのため、ウォーミングアップとクールダウンをしっかり行うようにする。

 

「大人の部活」でのタバタトレーニング

タバタトレーニングは高強度インターバルトレーニングの一つとして、スポーツおきなわの「サイクリストコンディショニングプログラム」(通称・大人の部活!!)でも実施されています。

タバタトレーニングで最大のトレーニング効果を得るためには、自身を疲労困憊まで追い込むことが重要です。

しかし、自分一人で行うトレーニングで自身を疲労困憊まで追い込むのは難しいものです。

一方、「大人の部活」では仲間と一緒にトレーニングを行うことができます。

また、トレーニング中はサポートスタッフが厳しく熱い激励の声かけをします!

そのような環境でトレーニングを行うことで、「大人の部活」では自身を疲労困憊まで追い込むことができます!!

 

強度の高いタバタトレーニングを安全に行うには、健康管理やウォーミングアップ、クールダウンをしっかり行うことも重要です。

「大人の部活」ではサポートスタッフがプログラムの提供と指導を行いますので、タバタトレーニングを安全に行うことができます。

 

「大人の部活」ではタバタトレーニングだけでなく、トレーニングの時期や各自のパフォーマンスレベルを考慮して様々なトレーニングを実施しています!!

ご興味のある方は是非一般社団法人スポーツおきなわまでお問合せ下さい。

 

P.S.

「大人の部活」の皆さんがトレーニングの成果を発揮し、目標を達成してくれること期待しています!!

 

参考資料

究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング、田畑泉、扶桑社

#13 野球指導者必見!!「ノビのあるストレート」とは??

 

連日熱戦が続く夏の甲子園。明日は興南高校の2回戦が行われますね。

 

初戦では先発の藤木投手が好投し、

リリーフの宮城投手も素晴らしい投球をしてくれました。

 

宮城投手のストレートは最速で140キロ前半でしたが、

「ノビのあるストレート」を投げている印象がありました。

 

明日の試合観戦の話の種として、

今回は「ノビのあるストレート」を評価する方法についてご紹介します。

 

ボールの軌道から球質を評価する方法

投じられたボールの軌道を計測し、ホームベース上でのボールの位置を調べることで

球質を評価する方法が考案されています。

黄色で示した軌道が投手が投じた実際のボールの軌道です。

ボールの軌道はボールの回転の影響を受けて変化します。

 

一方、青色で示した軌道はボールが回転しなかったときに想定される軌道です。

ボールは回転の影響を受けずにホームベースへと到達します。

 

ホームベース上での黄色と青色の軌道の違い、

すなわちボールの上下と左右の変化量を調べることで球質を評価することができます。

 

「ノビのあるストレート」を評価する場合、

ホームベース上で青色の軌道に対して黄色の軌道がどれだけ上にあるか、

上下の変化量を調べます。

 

日本人メジャーリーガーのストレート

上述した方法を使って日本人メジャーリーガーのストレートを評価した結果が

野球データ分析サイトのベースボール・ギークスによって報告されています。

他の日本人投手やメジャーリーグ(MLB)の投手のに比べて

上原投手は上方に非常に大きな変化量を示していることが分かります。

 

上原投手のストレートと言えば140キロ台の球速にもかかわらず、

メジャーリーグの強打者から空振りが奪える「ノビのあるストレート」でした。

 

メジャーリーグの打者は平均的なストレートの軌道をイメージしているため、

上方向への変化量が大きい上原投手のストレートを「ノビのあるストレート」と感じ、

空振りを奪われていたのでしょう。

 

一方、田中投手の上方向の変化量はメジャーリーガーの平均値に比べて低いものとなっています。

このシーズン(2017年)の田中投手は13勝12敗、防御率4.74と苦しいシーズンを送りました。

2016年シーズンは14勝4敗、防御率3.07と大活躍でしたが、

このシーズンの上方向の変化量はメジャーリーガーの平均値よりも大きかったとのことです。

 

興南高校の宮城投手のストレートは140キロ台の球速でも空振りの奪えるストレートです。

おそらく上原投手のストレートと同じように、

上方向へのボールの変化が大きい「ノビのあるストレート」なのでしょう。

 

まとめ

ボールの軌道を計測し、ボールの変化量を調べることで球質を評価することができます。

その評価方法を用いて検討した結果、

「ノビのあるストレート」とは平均的なストレートに比べて上方向へのボールの変化量が大きく、

打者のイメージを上回る軌道を描くストレートであることが分かりました。

 

PS

我喜屋優監督が興南自慢の投手陣をどのように起用するか注目しています。

 

参考資料

ベースボール・ギークス

・メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

・「ダルビッシュ、田中将大、上原浩治のストレートは変化球?」データで分析

・「ノビのあるボール」の正体とは?トラックマンデータで解明!

https://www.baseballgeeks.jp/

#11 運動前に体を冷やすとパフォーマンス発揮はあがる!!!

最近は台風が逆走したり、各地で最高気温を更新したりと異常気象が続いています。パフォーマンスを持続させる為にも今までの方法にとらわれず、様々なリスクや可能性を想定しておかないといけない時代に入ったのかもしれませんね。多くの知識や知恵を得ることで想定外の事態にも対処できるように心がけておきましょう。

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