#25 友達と練習は裏切らない?? バッティング練習を科学する

昨日で「2018年日米野球」が終わり、プロ野球はシーズンオフに入りました。

オフはファンにとって寂しい期間ですが、選手にとっては来シーズンに向けた練習を行う重要な期間です。

11月7日には「新語・流行語大賞」のノミネート語が発表され、「ダサかっこいい/U.S.A.」「(大迫)半端ないって」などと共に「筋肉は裏切らない」がノミネートされました。

「筋肉は裏切らない」は谷本道哉准教授が筋トレ指導を行うときのキメ台詞で、「筋トレを行えば筋肉は裏切らずに強く大きくなってくれる」ということです。

ただ、目的や方法を理解せずに筋トレを行ってしまうと、筋肉に裏切られてしまうかもしれません。

練習についても筋肉と同じことが言えるでしょう。

つまり、目的や方法を理解して行った質の高い練習は裏切らず、その成果が試合で発揮されます。

そこで今回は、少年野球選手のスイングに続いて「科学する野球」(平野祐一著)から「練習スイングを科学する」をご紹介します。

 

素振りの質を高めるために意識するべきこととは??

下の図は素振りを行ったとき(左)と実際の投球を打ったとき(右)に足が地面を押す力を測定したものです。

 右足と左足の力を足し合わせ、その力を右打者の前後(腹側-背側)、左右(投手側-捕手側)、上下の方向に分けて示してあります。

時間は左から右に経過していて、バットのたわみからスイングの開始やインパクトの瞬間を決めています。つまり、点線の間でスイングが行われています。

 

素振りと実際の投球を打ったときの足の力の振れ幅はよく似ています。

しかし、素振りは実際の投球を打ったときに比べて、スイング前やスイング中の力の振れ幅が小さいことが分かります。

このことから、この選手は実際の投球を打つときに似た素振りを行っていますが、より質の高い素振りを行うためには実際の投球を意識する必要があると思われます。

スイング前に足踏みをしてタイミングを取ったり、スイング中にしっかり足を踏み込んだりして素振りを行うのが良いでしょう。

 

素振りを行う目的は「スイングの回数を増やしてスイングスピードを高めること」です。

「インパクトしようとする位置にバットの芯を運ぶこと」を目的に素振りを行うこともあります。

そのような目的で素振りを行う場合には、どのコースへの投球をどの方向に打ち返すかを意識することが大切です。

 

ティーバッティング、フリーバッティングの質を高めるためには??

下の図は打撃の振るわない高校野球チームを対象にスイングスピードを測定した結果です。

横軸に素振りのスイングスピード、縦軸にティーバッティング(■)と実際の投球を打ったとき(〇)のスイングスピードが示してあります。

また、横軸と縦軸のスイングスピードが同じになるときのラインが図内の太線で示してあります。

この太線よりも■や〇が下に集まっていることから、素振りに比べてティーバッティングや実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことが分かります。

さらに、■に比べて〇が下に集まっていることから、ティーバッティングに比べて実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことも分かります。

 

ティーバッティングではボールの位置に合わせてスイングを行わなければならず、実際の投球を打つときにはタイミングも合わせなければなりません。

注意するポイントが増えた、すなわち求められる技術レベルが高くなった結果、スイングスピードが低くなってしまったと考えられます。

ティーバッティングや実際の投球に対するバッティングのスイングスピードを素振りのスイングスピードに近づけるためには、バッティングの技術レベルを高める必要があるでしょう。

そのためには、失敗を恐れず強く振ることを意識して、ティーバッティングやフリーバッティングを繰り返すことが大切だと思われます。

 

映像を活用してバッティング練習の質を高める

足が地面を押す力やスイングスピードを測定できれば良いのですが、そのために必要な測定機器は安価で手に入るものではありません。

しかし、最近ではスマートフォンを活用することで、スイング動作を撮影することは容易に行うことができます。

スマートフォンで撮影したスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができます。

 

具体的には、まずは試合での理想的な自身のスイング映像を入手します。

他の選手のスイングを参考にする場合には、その選手のスイング映像を入手します。

インターネットや衛星放送の発展のおかげで、最近ではメジャーリーガーの映像でさえ容易に入手できるようになりましたね。

その後、練習での素振り、ティーバッティング、フリーバッティングのスイング動作を撮影し、試合でのスイング動作と比較します。

試合と練習のスイング動作の違いを見つけ、試合でのスイングに近づけるよう意識してバッティング練習を行います。

このようにスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができるでしょう。

 

まとめ

試合を意識したスイング、試合に近いスイングを行うことでバッティング練習の質を高めることができ、そのような練習を繰り返すことで「練習は裏切らない」と言える成果が得られるでしょう。

 

P.S.

スポーツおきなわのトレーニングもあなたを裏切りません!!ᕙ(*´ω`*)ᕗ

 

参考資料

BBMスポーツ科学ライブラリー 科学する野球 バッティング&ベースランニング、平野祐一著、ベースボール・マガジン社

#24 短時間で効果絶大??海外で人気の日本発のトレーニングとは

11月10・11日にツール・ド・おきなわ2018が行われます。

一般社団法人スポーツおきなわでは、この大会にも出場するサイクリストをサポートする「サイクリストコンディショニングプログラム」を実施してきました。

このプログラムではパフォーマンスチェックの結果に基づき、各自に合ったコンディショニングプログラムを提供しています。

コンディショニングプログラムには高強度インターバルトレーニングやウエイトトレーニングなどが含まれています。

高強度インターバルトレーニングでは様々な方法を用いますが、「タバタトレーニング」という日本人の名を冠した方法も用いています。

そこで今回は、タバタトレーニングの概要と注意点をご紹介したいと思います。

 

タバタトレーニングとは??

タバタトレーニング(プロトコル)とは日本人の運動生理学者・田畑泉教授らが1990年代に発表した論文に由来するもので、海外で知名度を上げた後、ここ数年で逆輸入の形で日本に入ってきました。

 

田畑教授らの論文では「10秒の休息を挟んで20秒間の高強度の運動を6~7セット行って疲労困憊に至るような運動」を行っています。

これをベースにした「10秒の休息を挟んで20秒間の高強度の運動を8セット、すなわち4分間行って疲労困憊に至るような運動」がタバタトレーニングとして世界中で広まりました。

 

タバタトレーニングの効果は??

タバタトレーニングを行うことによって「最大酸素摂取量」と「最大酸素借」を向上させることができます。

最大酸素摂取量」とは1分当たりに摂取することができる酸素の最大値のことで、有酸素性エネルギー供給機構すなわち「持久力」の指標となります。

「最大酸素借」とは無酸素性エネルギー供給機構が供給できるエネルギーの最大値のことで、「中距離能力」の指標と考えることができます。

つまり、タバタトレーニングによって「持久力」と「中距離能力」の両方を向上させることができるのです。

 

1日1回(6~8セット)のタバタトレーニングを週に2回、それを6週間以上継続することで、タバタトレーニングの効果を得ることができます。

また、最大のトレーニング効果を得るためには、6~8セットの運動で疲労困憊まで追い込むことが重要です。

 

タバタトレーニングを安全に行うために

タバタトレーニングは強度の高いトレーニングですので、次のようなことに注意して安全にトレーニングを行うように下さい。

・血圧が高い、関節に異常があるなど健康状態に問題がある場合、トレーニングを始める前にメディカルチェックを受けるようにする。

・身体の準備とケアのため、ウォーミングアップとクールダウンをしっかり行うようにする。

 

「大人の部活」でのタバタトレーニング

タバタトレーニングは高強度インターバルトレーニングの一つとして、スポーツおきなわの「サイクリストコンディショニングプログラム」(通称・大人の部活!!)でも実施されています。

タバタトレーニングで最大のトレーニング効果を得るためには、自身を疲労困憊まで追い込むことが重要です。

しかし、自分一人で行うトレーニングで自身を疲労困憊まで追い込むのは難しいものです。

一方、「大人の部活」では仲間と一緒にトレーニングを行うことができます。

また、トレーニング中はサポートスタッフが厳しく熱い激励の声かけをします!

そのような環境でトレーニングを行うことで、「大人の部活」では自身を疲労困憊まで追い込むことができます!!

 

強度の高いタバタトレーニングを安全に行うには、健康管理やウォーミングアップ、クールダウンをしっかり行うことも重要です。

「大人の部活」ではサポートスタッフがプログラムの提供と指導を行いますので、タバタトレーニングを安全に行うことができます。

 

「大人の部活」ではタバタトレーニングだけでなく、トレーニングの時期や各自のパフォーマンスレベルを考慮して様々なトレーニングを実施しています!!

ご興味のある方は是非一般社団法人スポーツおきなわまでお問合せ下さい。

 

P.S.

「大人の部活」の皆さんがトレーニングの成果を発揮し、目標を達成してくれること期待しています!!

 

参考資料

究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング、田畑泉、扶桑社

#13 野球指導者必見!!「ノビのあるストレート」とは??

 

連日熱戦が続く夏の甲子園。明日は興南高校の2回戦が行われますね。

 

初戦では先発の藤木投手が好投し、

リリーフの宮城投手も素晴らしい投球をしてくれました。

 

宮城投手のストレートは最速で140キロ前半でしたが、

「ノビのあるストレート」を投げている印象がありました。

 

明日の試合観戦の話の種として、

今回は「ノビのあるストレート」を評価する方法についてご紹介します。

 

ボールの軌道から球質を評価する方法

投じられたボールの軌道を計測し、ホームベース上でのボールの位置を調べることで

球質を評価する方法が考案されています。

黄色で示した軌道が投手が投じた実際のボールの軌道です。

ボールの軌道はボールの回転の影響を受けて変化します。

 

一方、青色で示した軌道はボールが回転しなかったときに想定される軌道です。

ボールは回転の影響を受けずにホームベースへと到達します。

 

ホームベース上での黄色と青色の軌道の違い、

すなわちボールの上下と左右の変化量を調べることで球質を評価することができます。

 

「ノビのあるストレート」を評価する場合、

ホームベース上で青色の軌道に対して黄色の軌道がどれだけ上にあるか、

上下の変化量を調べます。

 

日本人メジャーリーガーのストレート

上述した方法を使って日本人メジャーリーガーのストレートを評価した結果が

野球データ分析サイトのベースボール・ギークスによって報告されています。

他の日本人投手やメジャーリーグ(MLB)の投手のに比べて

上原投手は上方に非常に大きな変化量を示していることが分かります。

 

上原投手のストレートと言えば140キロ台の球速にもかかわらず、

メジャーリーグの強打者から空振りが奪える「ノビのあるストレート」でした。

 

メジャーリーグの打者は平均的なストレートの軌道をイメージしているため、

上方向への変化量が大きい上原投手のストレートを「ノビのあるストレート」と感じ、

空振りを奪われていたのでしょう。

 

一方、田中投手の上方向の変化量はメジャーリーガーの平均値に比べて低いものとなっています。

このシーズン(2017年)の田中投手は13勝12敗、防御率4.74と苦しいシーズンを送りました。

2016年シーズンは14勝4敗、防御率3.07と大活躍でしたが、

このシーズンの上方向の変化量はメジャーリーガーの平均値よりも大きかったとのことです。

 

興南高校の宮城投手のストレートは140キロ台の球速でも空振りの奪えるストレートです。

おそらく上原投手のストレートと同じように、

上方向へのボールの変化が大きい「ノビのあるストレート」なのでしょう。

 

まとめ

ボールの軌道を計測し、ボールの変化量を調べることで球質を評価することができます。

その評価方法を用いて検討した結果、

「ノビのあるストレート」とは平均的なストレートに比べて上方向へのボールの変化量が大きく、

打者のイメージを上回る軌道を描くストレートであることが分かりました。

 

PS

我喜屋優監督が興南自慢の投手陣をどのように起用するか注目しています。

 

参考資料

ベースボール・ギークス

・メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

・「ダルビッシュ、田中将大、上原浩治のストレートは変化球?」データで分析

・「ノビのあるボール」の正体とは?トラックマンデータで解明!

https://www.baseballgeeks.jp/

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