#46 トップのラグビー選手、ジュニア時代はこうだった !!6つのポイント その① 

我らが日本代表、残念ながら南アフリカに負けてしまいました。。しかしながら、南アフリカは準決勝でウェールズ代表を破り決勝にコマを進めてくれました!しかも、決勝の相手は名将エディー・ジョーンズ監督(前回大会の日本代表監督)率いるイングランドです。そんな盛り上がりをみせているラグビーですが、各地で開催されている子供向けのラグビー教室も人気のようで、将来ラグビー日本代表を夢見る子ども達が増加中とのこと。そこで、今回はこれからラグビーを始める子ども達と関わる指導者向けに参考になる情報をシェアさせて頂こうと思います。

 ジュニア期 (13-20歳)の選手がどういった体の特徴を持っていて、その後どのようにキャリアを積んでいったのかについて紹介している論文があったのでシェアさせて頂きます。データは、ヨーロッパのスーパーリーグやオーストラリアのナショナルラグビーリーグ(13人制)を基準としている為、今回のワールドカップラグビー(15人制)とは単純に比較できない部分はあるかとは思いますが参考になればと思います。

① 昔からサイズが大きかったわけではなかった!?

ジュニア期(13-20歳)は、身長・体重ともに年齢と共に増加傾向にあり、エリート選手がそれ以外の選手に比べ数値は高く、ポジション別にみるとフォワードの方がバックスに比べて身長が高い傾向にあるようです。13-15歳のカテゴリーにおいて、身長・体重の変化量が大きいことも分かっています。

16歳以下のカテゴリーにおいて、エリート選手とそれ以外の選手では、身長・体重ともに大きな違いがない (エリート178.8±5.9cm, 77.5±10.0kg, サブエリート 175.2±6.9cm, 72.3±11.7kg) ことが分かっており、リーグのレベルが高くなるにつれて、サイズの違いがより顕著となります。

実際に、プロになった選手とアマチュアになった選手が13-15歳以下のカテゴリーだった時期を比べてみると、身長・体重共に14歳では差がなかったという点に関しては興味深い内容だと言えます。しかしながら、同じサイズでも下半身に関しては将来プロになった選手の方がサイズが大きかったようです。この時期は、同じ体重であっても下肢がしっかりとしているかどうかが将来成功する為のカギを握っているかもしれませんね。ジュニア期に関して、身長・体重とタックルのスキルとはダイレクトに関係しない為、16歳以下までは体のサイズを積極的に大きくする必要はなさそうだということも今回の論文では言及されていました。

② 下肢の皮下脂肪が将来成功するカギを握っている!

 皮下脂肪に関しては、 エリート選手はそれ以外の選手に比べて低く、ポジション別にみるとバックスの選手がフォワードの選手 に比べて低いことがわかっています。身長と体重が成長と共に安定した後では、バックスの選手はアカデミーレベルとプロレベルの選手との間に大きな差がない (13.7±1.6kg vs 12.6 ±1.1kg) こともわかっています。しかしながら、フォワードに関しては、プロ選手はアカデミーレベルに比べ、皮下脂肪(アカデミーレベル 19.3±1.6kg vs プロ 15.4±1.1kg)や骨量に関して大きな違いがみられ、その中でも下肢の皮下脂肪に関しては顕著な差があったようです。13-15歳のカテゴリー時期においては、プロになった選手はアマチュアになった選手と比べ、皮下脂肪が低い(33.4±9.8mm, 41.6±18.2mm)傾向にあったということを踏まえると、皮下脂肪がつきづらく且つ筋肉量が増えやすいという身体的な特徴を持った選手がトップレベルに上がっていく可能性も高くなりそうですね。指導者側がリーグのレベルやポジションに応じた最適な体脂肪率を抑えておくことが質の高い強化に繋がっていきそうです。

まとめ

今回は、ラグビー選手のジュニア期に注目した論文をご紹介させて頂きましたがいかがでしたか? ジュニア期の成長特性やその後選手がどのレベルまで到達したのかを知っておくことは育成や強化の手助けとなります。指導者の方々にも是非ご参考頂ければ幸いです。 その②はスピード・加速・減速・方向転換に関してご紹介させて頂きます!

参考文献 Kevin Till,Sean Scanthebury, Ben Jones. Anthropometric and Physical Qualities of Elite Male Youth Rugby League Players. Sports Med 47:2171-2186. 2017.

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