#32 おきなわマラソン直後は要注意!! 筋肉痛と「からだのチューニングのズレ」

日曜日のおきなわマラソン、お疲れ様でした!!

日頃のトレーニングの成果を発揮して目標を達成できたでしょうか?

今は激走の証である人生最大級の筋肉痛に苦しんでいるのではないでしょうか?

しばらくは休養と軽めの運動で筋肉痛からの回復に努めて下さい。

今回はBrockettら(1997)をご紹介し、筋肉痛(筋損傷)の状態で運動を行う際に気をつけて頂きたい「からだのチューニングのズレ」について話題提供したいと思います。

 

筋肉痛(筋損傷)を生じさせる運動

Brockettら(1997)の研究では、被検者にアームカールを繰り返し行わせました。

アームカールの負荷は最大筋力の20%で、被験者は運動7秒-休憩3秒というペースでアームカールを最低120回繰り返しました。

一方の腕で負荷を上げる短縮性運動(⬆)、他方の腕で負荷を下ろす伸張性運動(⇩)を行わせました。
このような運動を行わせることで、伸張性運動を行った上腕屈曲筋群に筋損傷を生じさせることができます。

 

位置感覚(position sense)のテスト

被検者は目隠しをされ、肘関節を30、60および90°に合わせるよう指示されました。

また、一方の腕を肘関節30、60または90°で固定し、他方の腕をその位置に合わせる試行も行いました。

被検者はテスト前に固定された腕で短時間の力発揮を行い、腕の位置の確認を行いました。

 

短縮性運動を行った腕(concentrically exercised arm: CA)と伸張性運動を行った腕(eccentrically exercised arm: EA)の位置のズレ(関節角度の違い)を示したのが下の図です。

運動前の位置のズレは0.7°でしたが、運動24時間後のズレは-4.9°となっています。

このようなズレが生じたのは、EAがCAに比べて常に伸展した関節角度を取ったためでした。

被検者は筋損傷が生じたEA側の筋の長さを実際よりも短く感じ、正確な位置よりも伸展した角度に腕を合わせてしまったようです。

伸張性運動によって筋が損傷したことで、筋の長さを検知する役割を持つ「筋紡錘」が正常に働けなくなったことが原因であると考えられます。

 

力覚(force sense)のテスト

被検者は最大筋力の10%の力(トルク)を発揮するよう指示されました。

それぞれの腕の最大筋力の10%の力はテスト開始前に視覚フィードバックによって確認されました。

テスト中に対象となる腕の発揮筋力は視覚フィードバックされず、他方の腕の発揮筋力のみ視覚フィードバックされました。

力覚のテストは位置感覚のテストと同じ装置を用い、肘関節90°で行われました。

 

下の図は短縮性運動を行った腕(CA)と伸張性運動を行った腕(EA)が発揮した力のズレ(トルクの違い)を示したものです。


運動前の力のズレは0.1%でしたが、運動24時間後のズレは-3.8%となっています。

EAが発揮した筋力が常に目標よりも低かったため、このようなズレが生じてしまいました。

伸張性運動を行ったEAでは筋が損傷したたため、筋の発揮した力を検知する役割を持つ「腱器官」が正常に働けなくなってしまったようです。

 

まとめ

筋が損傷しているときには、筋の長さを検知する「筋紡錘」や筋の発揮した力を検知する「腱器官」が正常に働くことができないようです。

すなわち、位置感覚や力覚が微妙に狂う「からだのチューニングのズレ」が生じている状態で、関節角度や発揮筋力の調整力が低下してしまっています。

よって、いつもと同じように動いているつもりでも、実際にはいつもとは微妙に異なる動きになってしまう可能性があります。

いつもとは微妙に異なる動きが、深刻な怪我を引き起こしてしまったら大変です。

筋損傷(筋肉痛)があるときにトレーニングや試合を行うには、自身の動きに細心の注意を払うようにして下さい。

 

参考資料
Brocketta C, Warrena N, Gregory JE, Morgan DL, Proske U (1997) A comparison of the effects of concentric versus eccentric exercise on force and position sense at the human elbow joint. Brain Research 771: 251-258

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください