#48 トップのラグビー選手、ジュニア時代はこうだった !!6つのポイント 最終回

ワールドカップラグビーの決勝から2週間経ったにもかかわらず関わらず、その余韻を楽しむかのように多くのメディアに各選手が出演している姿を見かけます。先日、某局で放送されていた番組にプロップの稲垣選手が出演していたのですが、収録中全く笑わず、しまいには周りの出演者から笑い方を指導されていたのが非常に印象的でした(^-^)。その他にもうどんを1度に2kgたいらげた話や小学生時代に体育館の床に穴をあけてしまった話など稲垣選手のことがますます気になってきた今日この頃です。そんなトップの選手がジュニア期にどう過ごしていたのか気になりますよね? 今回も前回に引き続きラグビーのジュニア選手に関しての情報をシェアさせて頂きますね。

⑤トップで成功するカギはジュニア期の持久系能力にあり。

一般的に競技レベルが上がるにつれて、持久系の能力は高くなることが分かっており、バックスの選手がフォワードの選手に比べ高い傾向にあります。VO2max(ml/kg/min)という持久系の能力を評価する数値をみてみると、ジュニア期におけるトレーニング効果は、18歳の選手よりも15歳の選手の方が高かったというデータもあるようです。(トレーニング期間10-14週間)

将来プロ選手になった選手とそうでない選手が13~15歳当時どうだったのかを調べてみると、VO2max(ml/kg/min)は49.8±4.6 vs 47.6±5.6とプロ選手になった選手の方がそうでない選手に比べて高かったようです。

その他にも持久力に関して下記の情報があったのでシェアさせて頂きます。
エリート選手 vs それ以外の選手: マルチステージフィットネステスト(15歳期)
10.6±0.5 vs 8.0±0.6

持久系の能力は、激しい運動を繰り返したり、トーナメント中のリカバリーを早めるという点でも重要な役割を果たす為、ジュニア期からその能力をしっかりと養っておくことは将来トップレベルで成功する為に重要なポイントとなりそうです。

指導者の方々は持久系の能力が年齢やポジションにより変化し、それが将来のキャリアに影響することも抑えておく必要があります。ラグビーはコンタクト競技という特性上ケガのリスクも高い為、持久系能力を養う際には、ローイングや自転車エルゴメーターを積極的に利用することをおススメします。

⑥ジュニア期の筋力はどれくらい?

 16~17歳頃に筋力が大きく伸びているというデータがあり、それは体の成熟と共に筋力トレーニングの介入が影響しているではないかという推測があります。

プロ選手のジュニア期の筋力を振り返ってみると、1回挙上(1RM)できる重さはスクワット:134.3±12.8(17歳時)/ベンチプレス:115.4±15.4(18歳時)/プローンロウ:107.4+10.8(19歳時)というデータがあります。

筋力は、スピードやパワーとの関連があり下肢の筋力強化がタックルやボール運びの能力を引き上げることと、筋力を向上させることは走力やコンタクト能力の向上、筋疲労の軽減などにも繋がります。

フォワード選手はバックス選手に比べて大きな力を生みだす必要がありますが、挙上重量を体重比でみると大差がないことが分かっています。(例えば、体重100kgのフォワード選手が200kgのスクワットを実施した場合と体重70kgのバックスの選手が140kgのスクワットを実施した場合、挙上した重量の絶対値は異なれど、挙上した重さを体重で除すると、それぞれ体重の2倍と等しくなります。) その他、バックスはフォワードの選手に比べて、カウンタームーブメントジャンプ(反動を用いたジャンプ)とスプリント能力が高く、この点に関しては、バックスの選手がフォワードの選手に比べて体重や体脂肪率が低いことが影響していると考えられます。

筋力は年齢と共に増加し、しかるべきタイミングでレジスタンストレーニングを導入することで向上し、レベルやポジションによって特性が異なることも抑えておく必要があるでしょう。

アンダー18歳カテゴリーに比べアンダー15歳のカテゴリーにおいて、下肢のパワーの伸び率が高いことがわかってはいるものの、伸び率が高いからといって負荷をどんどんかけても良いということにはならないので、選手の成長度合いを見ながらコーチがしっかりとコントロールしてあげる必要があります。

まとめ

今回で、ラグビー選手のジュニア期の特徴に関しての情報は最終回となりますがいかがだったでしょうか? ジュニア期を指導する監督・コーチの方々が、各年代における成熟度や体力レベルを把握しておくことで、選手の可能性を最大限に引き出してあげられるのではないでしょうか。

#47 トップのラグビー選手、ジュニア時代はこうだった !!6つのポイント その②

 ワールドカップラグビーは、南アフリカの勝利で幕を閉じました!日本がもし南アフリカと対戦していなければ、、なんて思ったファンの方も多かったのではないでしょうか? 改めてこれからの日本代表の活躍が楽しみになってきましたね!4年後が待ちきれません!! 今回は前回に続き、ワールドカップ熱でジュニアの競技人口が増えてきたであろうタイミングで指導者の方々にシェアさせて頂きたい内容をご紹介させて頂きます。

③スピードは13-15歳の間に伸び率が高くなる!

 スピードに関しては、エリート選手がその他の選手に比べて速く、全体的にはバックスの選手がフォワードの選手に比べて速いことが分かっています。年代別に比べてみると13歳と15歳のカテゴリーにおいて伸び率が高く、これは身長の伸び率や成長のタイミングがストライド長やピッチの向上に関係することが影響していると考えられます。60m走では、晩熟の選手が13-15歳の間に数値が向上し、16歳以上のカテゴリーでは、スピードトレーニングのトレーナビリティが低くなることもわかっています。これは身長の伸びが落ち着いた後に体重が増えてくるという成長要因が関係していると考えられます。このことから、16歳以上の選手は身長や体重などのコンディションをモニタリングしておくことは非常に重要だと考えられます。ある程度、年齢が低い時期には体重とスピードの両方を伸ばすことができるが、成長と共に体重が増えていく過程でいかにスピードを維持できるのかがシニアで活躍する為のポイントとなりそうです。

④方向転換能力は特異的な刺激が重要!

 ポジション別では、バックスとフォワード間において方向転換能力に関しては大差はなく(プロップを除く)、スピード同様年齢(特に13~15歳カテゴリーの伸び率が高い)と共に伸びることが分かっています。エリート選手とそれ以外の選手の5-0-5アジリティテストの数値を比較したデータもある為、ご参考頂けたらと思います。(エリートvs サブエリート 2.38±0.08秒 vs 2.68±0.08秒)プロップは、他のポジションに比べて方向転換能力が低いこともあり、キャリアが短くてもポジションに必要な能力が備わっていることでトップレベルで活躍できるチャンスは高い傾向にあるようです。(遅い時期でも他競技からタレント発掘が出来そうですね)方向転換能力はトップリーグで活躍する為に必要不可欠な能力となることから、ジュニア期はシンプルな方向転換能力以外にも競技特異的な刺激を含んだ方向転換能力を獲得しておくことが重要だと言えそうです。

まとめ

 スピードや方向転換能力(加速・減速を含む)は、大きく伸びる時期がある程度決まっているようなので、その時期までに如何に多くのスキルを身に着けることができるかがトップで成功する為のカギとなりそうです。成長と共に、パフォーマンスの伸び率に変化が起こるということを指導者が理解しておくことは、ジュニア期を指導する上で、戦術やスキル指導同様重要なことかもしれませんね。

P.S.

次回は、ジュニア期の筋トレや有酸素運動に関してご紹介させて頂きます(^-^)。

参考文献 Kevin Till,Sean Scanthebury, Ben Jones. Anthropometric and Physical Qualities of Elite Male Youth Rugby League Players. Sports Med 47:2171-2186. 2017.

#39 ビーチで速く走ろう! とりあえず最終回!!

前回のブログから何だかんだ時間が経ってしまいました(;’∀’)

あれから色々と考えてみた結果、これがテッパンの走り方です!という答えはでず。。(スイマセン)

ただ、いくつか考えを整理してみたので前回からの内容も踏まえてご紹介させて頂けたらと思います。

前回のおさらいを踏まえて考えてみる

おさらい①

ビーチ(砂の上)では与えられた力が吸収された分、受け取れる力が少なくなり結果として平均速度が減少する。

上記から平均速度の減少を抑えるためには

ポイント①

吸収される力を出来る限り少なくすることで、受け取れる力が減少するのを抑える。

ポイント②

現状より大きな力を与えることで、結果的に受け取れる力を大きくする。

と考えることもできます。

おさらい②

ビーチ(砂の上)での接地は陸上に比べて、体幹の前傾と膝の角度が減少することで重心が低くなる。各接地のポジションにおける足関節の可動域は陸上に比べて大きい。

上記の現象がなぜ起こっているのか、可能性を考えてみました。(かなり主観的な考えではありますが。。)

なぜ、体幹の前傾が起こっているのか?

⇒足が砂に接地した後、重心移動と共に少しずつ足が沈み込む現象が起こり、最終的に力を伝えるポジションでは、砂面が斜め(スターティングブロックのようなイメージ)になっている=伝える力の方向が後ろ斜め下方向となり、

ポイント③

前傾ポジションをとった方が効率良く地面からの反力を受けとれる可能性が高いと考えられる。

注意:画像はイメージが伝わりやすいようにかなり前傾姿勢となっていますが、実際はそこまで前傾にはなっていません。

なぜ、しゃがみ込むような動きで(膝の角度が減少)重心が低くなっているのか?

⇒砂に足が接地した後、体全体が地面に沈み込む(外乱を受ける:制御系の状態を乱そうとする外的作用を受ける)ことでバランスが崩れることを想定し、

ポイント④

重心を下げることで外乱に対応してバランスをとるという体の姿勢制御が関係している可能性が考えられます。

バランスをとる際に腰を落とイメージ

なぜ、他各接地のポジションにおける足関節の可動域が陸上に比べて大きいのか?

ポイント⑤

重心移動と共に接地面が常に動くことから陸上よりも足関節が大きく動く必要があると考えられます。

まとめ

  結局のところ、ビーチ(砂の上)で速く走る為にこれがベストな方法です!という結論には達していませんが、各ポイントからいくつかのヒントを得ることが出来たのでは?と感じています。

ポイント①より

接地の際に足の指で砂をギュッと掴んだり、足を突き刺したりすることで砂地盤の密度を高める与えた力を受け取りやすくなる)ことが平均速度の減少を抑制できる可能性があると考えられます。

ポイント②より

お尻(臀部)、股関節屈曲筋群(主に腸腰筋)、膝を伸ばす筋(大腿四頭)、膝を曲げる筋(ハムストリング)の筋力強化により股・膝関節の屈曲/伸展パワーを上げることで、現状よりも受け取れる力を大きくすることで平均速度の減少を抑制できる可能性があると考えられます。

ポイント③より

体幹強化により前傾姿勢を保つ(体の重心を地面から力を受け取りやすい位置に置く)ことで地面から反力を効率よく前方向の推進力へと繋げることが出来そうです。

ポイント④より

接地の際に意識的に重心を下げることは安定した力発揮(不必要な重心の動揺を避ける)に必要不可欠なテクニックだと考えられます。但し、重心を下げることで余分にエネルギーを使う可能性がある為、ポイント②同様に筋力を強化する必要がありそうですね。

ポイント⑤より

重心移動と共に接地面が常に変化する為、陸上とは異なるテクニックで走る必要がありそうです。

PS

今後も何か現場で気づいたことやアップデートがあればご紹介させて頂きますね!

#38 ビーチで速く走る為のコツってなに!?その①

前回のブログでは、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、今回からビーチ(砂の上)で速く走る為にはどうしたらよいのか?について考えてみようとます。

前回のおさらい

ビーチ(砂の上)で足が遅くなる理由として下記2つの可能性が挙げられました。

*砂の上ではストライドの長さが短くなる。

*ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなる。

ビーチ(砂の上)と陸上での動きの違い

実際にビーチ(砂の上)を走っている時の動きと陸上での動きを比べてみたところ、接地局面においてビーチ(砂の上)では陸上に比べ重心が低く、体幹が前に傾き(Figure 2)、足が離れる局面においては股関節の伸び(伸展)が少ない傾向にあるようです。(Figure 3) また、 中間位(Tmid)における股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4)

*点線が陸上、直線が砂の上

*(B)砂の上では膝の角度が減少する(よりしゃがみ込むような動き)ことから重心が低くなっていると推測。

さらに細かい動きの違いについて確認してみようと思います。

  • 股関節と膝関節の角度関係

足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が股関節と膝関節がより曲がって(角度が小さい)います。

  • 足関節の角度

足が着いた瞬間(Tdouwn)、中間位(Tmid)、足が離れる瞬間(Toff)ともにビーチ(砂の上)の方が足が跳ねて(足関節の角度が大きい)います。

*こちらに関しては、ビーチサッカーの監督さんが足を刺すような感じで走っているとおっしゃっていたので実際の感覚と現象が一致しています!

最後に前回と今回の内容をまとめてみました。

ポイント①

ビーチ(砂の上)では与えた力が吸収された分、受けとれる力が少なくなることで、

流れ① 中間位(Tmid)における股関節のスイングのスピード(角速度)が遅くなる

流れ② 砂の上ではストライドの長さが短くなる(ピッチは変化しない)

流れ③ 結果として平均走速度が減少する。

※股関節の角速度の5–34% の減少は水平方向への速度の7-22%減少と一致。

ポイント②

ビーチ(砂の上)では接地の際の体のポジションが陸上とは異なる

 現象① 体幹が前に傾く

 現象② しゃがみ込むような動き(膝の角度が減少)で重心が低くなる

 現象③ 接地時の各ポジションの足関節の可動域が大きい(足首が跳ねる)

次回は、ポイント①とポイント②を踏まえた上でビーチ(砂の上)で速く走る方法について引き続き考えていきたいと思います。

PS

結局、次回につづくになっていましましたね(;’∀’)

参考文献

Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011

#37 ビーチ(砂の上)で走ると足が遅くなるのはなぜ?

ここ最近、全国のお天気ニュースでは桜の開花情報と共に暖かい日々が増えてきましたね。沖縄は全国で一番桜の開花時期が早い為、残っている桜はほんのわずかで、 春をすっ飛ばしていよいよ夏本番!といったところです。実際に沖縄県内のいくつかのビーチでは海開きがスタートしています。

今回はビーチ環境に恵まれた沖縄ならではの疑問、ずばり “ビーチ(砂の上)で走ると足が遅くなるのはなぜ?”について考えてみました。

陸上に比べて足が遅くなるのはなぜ?

100m,200m競技に参加レベルの選手(平均年齢21±6/男性5名/11.0±0.4秒、19±2/女性5名/12.6±0.3秒)が砂の上と陸上の上でそれぞれ30m走を走った際のデータがあるのでご紹介させて頂きます。

男女共に30m走の平均速度が砂の上では陸上に比べて男性で15.8%,・女性で12.4%減少という結果になりました。この結果に関してはみなさんの経験上容易に想像ができたと思います。

走速度=ストライド×ピッチとなりまずが、興味深かったことは、砂の上ではストライドの長さは短くなるもののピッチは陸上と大きく変わらなかったという点です。(個人的にはどちらも陸上に比べてパフォーマンスが下がっていると思っていました)

もし、ビーチ(砂の上)で陸上と同じパフォーマンスを保つ為にはピッチをあげないといけないということになります。

イメージとしては、陸上と同じように足を動かしているはずなのに前に進むことができないといったところでしょうか。
↓こんな感じ!?

砂の上ではストライドの長さが短くなることでゴールまでの歩数が増え、陸上に比べて余分にエネルギーを使うこととなります。発想を変えてみると、体に負担(負荷)がかかるという点では良いトレーニングになるということが言えるでしょう。シーズンど真ん中のトレーニングとしては、負担が大きくなる為、オフシーズンなどに取り入れると良いかもしれませんね。

なぜビーチ(砂の上)では前に進めないの?

少し物理の授業の復習になりますが、運動の第三法則で作用反作用の法則というものがあります。かなりざっくりと説明すると、ある物体に10の力を伝えると同時にその物体から同じ10の力を受けるという法則です。但し、物体が外力による移動なく、かつ歪まないことがポイントで、力を伝える場所が砂のように軟らかい場合は与えた力が吸収される分、受けとれる力が少なくなります。その為にビーチ(砂の上)では与えた力をそのまま受けることが出来ずに前に進めず(ストライドの長さが短くなる)に足が遅くなる(走速度の減少)という状況に陥ってしまいます。また、MID-STANCEにおける股関節の角速度の減少が走速度の減少と関係があったようです。(Figure 4) 与えた力をうまく受け取れなかったことで股関節の角速度が減少した可能性もありそうですね。

今回は、ビーチ(砂の上)で走るとなぜ足が遅くなるのか?について考えてみましたが、次回はいよいよどうしたらビーチ(砂の上)で速く走ることができるのか!?という点について考えてみようと思います。

PS

沖縄にはビーチ(砂の上)を走りまくっているチームがあります!

不定期ではありますが、選手と一緒にビーチでボールを蹴れるチャンスもあるので要チェックです☆

ビーチ(砂の上)を走るのがどれだけ大変なことか体感することができますよ(;’∀’)

http://www.solmarpraia.com/

参考文献

Alcaraz P. E.1, Palao J. M.1, Elvira J. L. L.1, Linthorne N. P.2. Effects of a sand running surface on the kinematics of sprinting at maximum velocity. Biology of Sports・February 2011

#35 ランニングウォッチがどうやってVO2maxを推定してるか、わかるよねぇ~??

先週の日曜日、東京マラソンが冷たい雨の降る中、開催されました。

日本記録保持者の大迫傑選手が出場しましたが、残念ながら途中棄権でしたね。

東京マラソンにはトップランナーだけでなく、市民ランナーもたくさん出場します。

最近では光学式心拍計やGPSが内蔵されたランニングウォッチが安価で購入できるようになり、市民ランナーの多くがランニングウィッチを着用しています。

ランニングウォッチは心拍数や距離、速度を測定できるだけでなく、最大酸素摂取量(VO2max)を推定することもできます。すごいですね~ w(゚o゚*)w

VO2max??(;・∀・)??

VO2maxって何か、わかるよねぇ~??

忘れてしまった方は過去のブログを確認して下さい。

https://sports-okinawa.org/top-soccer-players-vo2max/

 

実験室でVO2maxを測定する場合には、トレッドミルで速度を規定してランニングを行い、その際の呼気ガスを分析します。

一方、ランニングウォッチを用いてVO2maxを推定する場合には、速度を規定せずに屋外でランニングを行います。

ランニングウォッチがどうやってVO2maxを推定してるか、わかるよねぇ~??

そこで今回は、

「マラソン わかるよねぇ~?? シリーズ第3章・ランニングウォッチを用いたVO2maxの推定」

をご紹介します。

 

【手順1】ランニング中の心拍数や走速度のデータを取得する。

速度を規定せずに屋外で行ったランニングから信頼性の高いデータを得るには、

– 信号待ちをしているとき

– 急坂や軟らかい地面を走っているとき

– 長時間のランニングによって心拍数が高まっているとき

などの状況を判別し、それらの状況で取得したデータを除く必要があります。

GARMINやSUUNTOにアルゴリズムを提供しているFirstbeatでは、そのような状況を判別する特許技術を有しています。

 

 

【手順2】最大心拍数(HRmax)時の走速度を推定する。

手順1で取得した走速度[m/s]と心拍数[bpm]は下記の図のような直線関係を示します。

信頼性の高い走速度と心拍数の関係を得るため、平坦で硬いところを15分以上かけて走り、心拍数をHRmaxの75%以上まで上げて行くことが推奨されています。

 

HRmaxは220-年齢や210-(年齢×0.65)などから算出でき、その値を走速度-心拍数関係に当てはめることでHRmax時の走速度を推定することができます。

 

【手順3】HRmax時の走速度からVO2maxを推定する。

手順2で推定したHRmax時の走速度[m/s]を下記の式に当てはめることで、VO2max[ml/kg/min]を推定することができます。

VO2max=11.1×HRmax時の走速度+5.3333

 

ランニング中の瞬間的なVO2maxを連続的に表示するランニングウォッチでは、下記の式を用いてVO2max推定しています。

V02max=[-c1×HR/HRmax+(1+c1)]×[11.1×(c2×Angle+1)×走速度+5.3333)]

c1やc2は定数ですが、具体的な数値は公開されていません。

推定式にAngle[rad]を含めることによって、道の傾斜の影響を考慮しています。

 

おわりに

ウェアラブル端末の技術が発展したおかげで、ランニングウォッチを使って容易にVO2maxを推定できるようになりました。

下図のようにVO2maxが高いほどマラソンのタイムが良いという関係が見られます。

 

VO2max[ml/kg/min]からマラソンの記録を予測する式がいくつか報告されています。

マラソンのタイム[秒]=13967-70.44×VO2max (山地ら 1990)

マラソンのタイム[分]=435.58-3.85×VO2max (Foster 1983)

マラソンのタイム[分]=370.9-2.65×VO2max (Haganら 1981)

平均走速度[km/h]=(VO2max-26.4)/2.686【男性】 (MaughanとLeiper 1983)

平均走速度[km/h]=(VO2max-32.3)/1.819【女性】 (MaughanとLeiper 1983)

それぞれの式から自身の推定タイムを求め、マラソンの目標タイムを決める際の参考にしてみてはいかがでしょうか??

 

参考資料

・ Automated Fitness Level (VO2max) Estimation with Heart Rate and Speed Data (Firstbeat社のWhite Paper)

https://assets.firstbeat.com/firstbeat/uploads/2017/06/white_paper_VO2max_30.6.2017.pdf

・METHOD AND SYSTEM FOR DETERMINING THE FITNESS INDEX OF A PERSON (Firstbeat社のPatent)

https://fi.espacenet.com/publicationDetails/description?CC=WO&NR=2012140322A1&KC=A1&FT=D&ND=4&date=20121018&DB=&locale=fi_FI#

・山地啓司、池田岳子、横山泰行、松井秀治.最大酸素摂取量から陸上中長距離、マラソンレースの競技記録を占うことが可能か.ランニング学研究 1990, 1, 7-14

・Foster C. VO2max and training indices as determinants of competitive running performance. J Sports Sci 1983, 1, 13-22

・Hagan RD, Smith MG, Gettman LR. Marathon performance in relation to maximal aerobic power and training indices. Med Sci Sports Exerc 1981, 13, 185-189

・Maughan RJ, Leiper JB. Aerobic capacity and fractional utilisation of aerobic capacity in elite and non-elite male and female marathon runners. Eur J Appl Physiol Occup Physiol 1983, 52, 80-87

#34 大坂なおみ選手の強さの秘密は強い1stサービス??

大坂なおみ選手の昨年からの躍進は目覚ましく、今年の1月にはついに女子テニス協会(Women’s Tennis Association: WTA)のランキング1位に立ちました。

大坂選手と言えばインタビューでの「なおみ節」もチャーミングですが、最大の魅力は試合での強烈なサービスではないでしょうか??

そこで今回は、WTAランキングトップ100の女子テニス選手のサービスの傾向を検討した村田(2018)の概要をご紹介します。

 

サービスに関するスタッツ

女子テニス協会(Women’s Tennis Association: WTA)ランキング100位内の選手を対象に、公式ホームページから下記のスタッツを取得しました。

・サービスエース数(エース数)

・ダブルフォルト数

サービス時の総ポイント取得率(総ポイント取得率)

・1stサービスが入った確率(1st成功率)

・1stサービスが入った際のポイント取得率(1st取得率)

・2ndサービスが入った際のポイント取得率(2nd取得率)

 

また、取得したスタッツから下記のスタッツを算出しました。

・1stサービスでポイントを取得した確率 = 1st成功率 × 1st取得率

・2ndサービスでポイントを取得した確率 = (1-1st成功率) × 2nd取得率

尚、1stサービスでのポイント取得率と2ndサービスでのポイント取得率の和が、上述の総ポイント取得率となります。

 

ランキングとキープ率の関係

ランキングが高い選手ほどキープ率が高く、トップ20の選手では70%程度、100位付近の選手では60%程度でした。

 

総ポイント取得率と1st/2ndサービスでのポイント取得率の関係

サービス時の総ポイント取得率が高い選手は、どちらのサービスでも高い確率でポイントを取得しており、特に1stサービスでのポイント取得率が高いことが分かりました。

 

総ポイント取得率と1st/2ndサービスが入った際のポイント取得率の関係

サービス時の総ポイント取得率が高い選手は、どちらのサービスが入っても高い確率でポイントを取得していましたが、1stサービスが入った際のポイント取得率が特に高いことが明らかになりました。

女子選手の場合、1stサービスが入った際のポイント取得率は60%程度、2ndサービスが入った際のポイント取得率は40~55%程度と報告されていますが、この研究の取得率も同様でした。

尚、男子選手の場合、1stサービスが入った際は70~80%程度、2ndサービスが入った際は40~60%程度の確率でポイントを取得することが報告されています。

 

総ポイント取得率と1stサービスの成功率の関係

1stサービスの成功率は50~70%程度でしたが、サービス時の総ポイント取得率とは関係がないことが分かりました。

上図のように2ndサービスが入った際には40~50%の確率でポイントを取得できることから、1stサービスが入らなくても総ポイント数には影響しなかったようです。

 

ダブルフォルト数とキープ率の関係

1試合あたりのダブルフォルト数は、キープ率にほとんど影響しないことが分かりました。

よって、ダブルフォルトを犯すことよりも、ダブルフォルトを恐れて1stサービスの成功率を低下させたり、弱いサービスを打って1st/2ndサービスが入った際のポイント取得率を低下させたりする方がキープ率を低下させると考えられます。

 

エース数とキープ率の関係

1試合あたりのエース数が多い選手ほどキープ率が高いことが分かりました。

ただし、ほとんどの選手のエース数が6本以下でした。

ストレートで勝った場合のサービスゲームは6回ですから、女子選手が各ゲームで1本以上のエースを取る確率はかなり低いようです。

 

エース数と1st/2ndサービスが入った際のポイント取得率の関係

1試合あたりのエース数が多い選手は、1stサービスが入った際にポイントを取得する確率が高いことが分かりました。

「エース数の多い選手」とは「強いサービスを打てる選手」と考えられます。

よって、エース数が多かった選手は強い1stサービスでラリーの主導権を握り、3球目以降の攻撃でポイントを取得する確率を高めていたと推察されます。

一方、2ndサービスが入った際のポイント取得率は、エース数によらず概ね一定でした。

 

まとめ

・1試合あたりのダブルフォルト数はキープ率にほとんど影響しませんでした。

・サービス時の総ポイント取得率が高い選手は、1stサービスが入った際のポイント取得率が特に高いことが分かりました。

・1試合あたりのエース数が多い選手は、1stサービスが入った際にポイントを取得する確率が高いことが明らかになりました。

これらの結果から、近年のWTAランキングトップ100の選手では1stサービスでのポイント取得率が重要なため、ある程度のリスクを許容して強い1stサービスを打っていると推察されます。

強いサービスを打ってもエースを取れる確率は低いようですが、ラリーの主導権を握ることができると思われます。

今後大坂選手の試合を見る際には、そのような観点から1stサービスとその後のラリーを見てはいかがでしょうか??

 

おわりに

この研究はランキング100位以内のすべての選手の1試合あたりのスタッツをまとめて分析し、WTAランキングトップ100位以内の選手の全体的なサービスの傾向を明らかにしたものです。

よって、選手ごとやセット/ゲームごとのスタッツを分析すると、この研究とは異なるサービスの傾向が見られる可能性があります。

この研究で用いられている方法で、ご自身や担当する選手のサービスの傾向を明らかにするのはいかがでしょうか??

サービスの戦略を再構築する良いきっかけになるかも知れません。

 

参考資料

WTA トーナメントにおけるトップ100 位選手の2018 年サービスの傾向.村田宗紀.スポーツパフォーマンス研究, 10巻, 354-363ページ, 2018年

http://sports-performance.jp/paper/1844/1844.pdf

#31 おきなわマラソン直前!! 何色のサングラスをかけたらいいか、わかるよねぇ~??

おきなわマラソンの開催がついに今週末となりました。みなさん、準備はOKですか??

過去のブログを参考に、計画的なトレーニングでしっかり準備をしてきたと思います。

https://sports-okinawa.org/marathon-training_fat-oxidation/

https://sports-okinawa.org/marathon_glycogen-loading/

今回は『マラソン「わかるよねぇ~??」シリーズ』第二章として、

マラソンのレース中に着用するサングラスのレンズの色について情報提供をしたいと思います。

何色のサングラスをかけたらいいか、わかるよねぇ~??

 

先行研究から考えられる「色の効果」とは??

色が生理学的反応に影響を及ぼすことが先行研究によって報告されており、それらの報告から色には下記のよう効果があると考えられています。

■ 波長の短い色(青、緑など)

・ 血圧や呼吸数を減少させた。

・ 副交感神経に作用して心拍数を減少させた。

・ 酸素飽和度を増加させた。

⇒ 鎮静効果があると考えられる。

■ 波長の長い色(赤、オレンジなど)

収縮期血圧や皮膚電気反射、呼吸数を増加させた。

⇒ 覚醒レベルや興奮状態を増加させると考えられる。

 

レンズの色によって運動を繰り返せる回数が変わる??

Fisherら(2015)は15名の被検者に①透明のレンズのメガネ、➁透明のレンズに赤いラップを巻いたメガネ、③青いラップを巻いたメガネをかけさせ、繰り返しのレッグプレスを行わせました。

レッグプレスの重量は最大25回繰り返すことができる91.0±12.7 kgでした。

被検者は2秒で膝を伸ばし、2秒で膝を曲げるというペースでレッグプレスを繰り返し、そのペースを維持できなくなったらレッグプレスを終了しました。

 

その結果、レッグプレスの繰り返し回数は以下のようになりました。

レッグプレスの繰り返し回数は、透明のレンズよりも青色のレンズのメガネをかけた方が多くなりました。

青色のレンズには鎮静効果があり、筋疲労に伴う不快感を軽減した可能性が考えられました。

青色のレンズに対する被験者の感想は、「集中できて、痛みから気をそらせた」「リラックスできて、より容易に感じた」「気持ちが落ち着き、集中できた」といったものでした。

これらの感想は、青色は快適さや力強さ、幸福さといった感覚を連想させると報告した先行研究を支持するものでした。

以上のことから、青色のレンズは筋持久力に依存する持続的な運動を行う際に有効であると考えられます。

具体的なスポーツとして、長距離走、自転車、水泳、バスケットボール、アメリカンフットボール、テニス、クリケット、スノーボード、スノーボード、スキー、ゴルフなどが挙げられます。

 

赤色と透明のレンズの回数、赤色と青色のレンズの回数には違いが見られませんでした。

赤いレンズに対する被験者の感想は、「やる気を感じた」「興奮したが、快適ではなかった」「熱く感じて疲れた」といったものでした。

これらの感想は、赤色のような暖色は実際よりも気温を高く感じさせるという先行研究の報告を支持するものでした。

熱さや興奮を感じさせる赤色のレンズは、運動前のウォームアップや心の準備を行う際に有効であるかも知れません。

また、赤色、青色、ピンク色のライトを見ながら握力を測定すると、赤色のライトを見ながら発揮した握力が最も高かったと報告した先行研究があります。

繰り返しのレッグプレスと単発の握力の結果から考えると、赤色のレンズは長時間ではなく、短時間の運動において効果的な可能性があります。

 

おきなわマラソンで着用するおススメのサングラスとは??

以下の図はFisherら(2015)において各被検者がレッグプレスを繰り返した回数を示したものです。

上述したように平均値を比較すると、

・透明のレンズよりも青色のレンズの繰り返し回数が多かった。

・透明と赤色のレンズの回数、赤色と青色のレンズの回数には違いが見られなかった。

という結果になります。

しかし、各被検者の繰り返し回数に着目すると、全員が平均値と同様の傾向を示していないことが分かります。

青色よりも赤色のレンズの方が繰り返し回数が多い被検者も2名見られました。

レンズの色がレッグプレスの繰り返し回数に及ぼす影響のメカニズムは複雑なため、レンズの色と繰り返し回数の関係に個人差が見られたと思われます。

 

Fisherら(2015)の平均値と個人値の結果を併せて考え、

おきなわマラソンのレース中に着用するサングラスのレンズの色は「青」がおススメですが、

効果には個人差があります。

という結論にさせて頂きたいと思います。

 

おわりに

『マラソン「わかるよねぇ~??」シリーズ』が第何章まで続くか、わかるよねぇ~??

第十三章くらいまで続けられるよう、情報収集を頑張ります!!

みなさんはおきなわマラソンを頑張って下さい!!

 

参考資料

Fisher J, D’amario D, Small C, Stopforth M (2015) Effect of colored lenses on muscular performance. J Sports Med Phys Fitness; 55: 549-56

#30 目指せ山川穂高選手!!大きな打球を飛ばすスイングとは??

球春到来!!プロ野球の春季キャンプがついにスタートしました。

沖縄県では広島(沖縄市)、ヤクルト(浦添市)、巨人(那覇市)、DeNA(宜野湾市)、中日(北谷町)、阪神(宜野座村)、日本ハム(名護市、国頭村)、ロッテ(石垣市)、楽天(久米島町、金武町)と多くのチームがキャンプを行います。

昨シーズン、セ・パ両リーグ最多となる47本の本塁打を放った中部商出身・山川穂高選手の打撃練習を生で見て、飛距離の大きな打球を飛ばすスイングを学ぶチャンスです!!

と思ったら、

山川選手が所属する西武ライオンズのキャンプ地は… 宮崎県と高知県 (泣)

そこで今回は、山川選手も行っていると思われる飛距離の大きな打球を飛ばすためのスイングについて話題提供します。

 

飛距離の大きな打球を飛ばすためのスイングとは??

打球の飛距離には「打球速度」と「打球角度」が影響します。

「打球速度」が最大になるのは、投球の軌道とスイングの軌道が一致し、バットとボールが正面衝突したときです(下図参照)。

しかし、ボールとバットが正面衝突した場合、打球は無回転となるため、打球には揚力の効果を得ることができません。

揚力の効果を得て打球の飛距離を伸ばすためには、ボールの中心より少し下側をバットでとらえ、打球にバックスピンをかける必要があります。

ボールとバットの衝突をシミュレートした研究によると、直球を打つ場合には19度上向きのスイング軌道で、ボールの中心の6ミリ下側をバットでとらえると飛距離を最大化することができるそうです(下図参照)。

すなわち、アッパー気味の軌道でボール中心のやや下側を狙ったスイングが、飛距離の大きな打球を飛ばすスイングということになります。

 

打率.500、長打率1.500を超える「打球速度」と「打球角度」とは??

2015年のメジャーリーガーのデータを使って打率.500、長打率1.500を超える「打球速度」と「打球角度」の組み合わせを示した「バレルゾーン」という指標があります。

打球の飛距離には「打球速度」と「打球角度」が影響しますので、「バレルゾーン」を通過した打球の飛距離は大きく、大半が長打となります。

 

下の図がバレルゾーンを示したものです。

バレルゾーンを実現するためには、98 mph(158キロ)以上の「打球速度」(Exit Velocity)と26~30度の「打球角度」(Launch Angle Range)が必要です。

また、「打球速度」が大きくなると、バレルゾーンを実現できる「打球角度」が広がります。

 

バレルゾーンを通過する「打球角度」を実現するには、スイング軌道やインパクト位置といった技術的な要素が大きく関係します。

一方、158キロ以上の「打球速度」を実現するには、そのような「打球速度」を実現できるスイング速度が求められ、スイングの発生源である筋量(筋力)が重要となります。

スイング速度と「打球速度」の関係を検討した研究によると、スイング速度が大きくなると「打球速度」は大きくなり、128キロのスイング速度によって158キロの「打球速度」を実現することができます。

また、筋量の指標である除脂肪体重が大きいほどスイング速度が大きいという研究結果があり、65キロの除脂肪体重があれば128キロのスイング速度を実現できると推定されます。

これらのことから、65キロの除脂肪体重がバレルゾーンを通過する打球を打つ条件であると考えられます。

中高生にとって65キロの除脂肪体重という条件はハードルが高く、中高生の野球選手が158キロ以上の「打球速度」を実現するのは難しいでしょう。

したがって、今は打球に角度をつけて打ち上げても、外野フライにしかならないかも知れません。

映画メジャーリーグ式の練習だった場合、腕立て伏せ10回のペナルティーが科せられますね (笑)

しかし、成長やトレーニングによって筋量が増加して「打球速度」が大きくなれば、長打を量産できる打者に成長する可能性があります。

よって、筋量が「打球速度」の条件を満たすときに備えて、バレルゾーンを通過する「打球角度」を実現できる技術(スイング軌道、インパクト位置など)を身につける練習を行うのも良いかも知れません。

 

まとめ

飛距離を大きな打球を飛ばすスイングとは、

① 打球に角度(20~35度)をつける。

➁ 打球にバックスピンをかける。

③ 打球速度を低下させない。

3つの条件を最適なバランスで実現したスイングである。

 

P.S.

山川選手は一部で「おかわり2世」と呼ばれていますが、初代おかわり君・中村剛也選手に匹敵する日本を代表する長距離打者になりましたね。

今後、沖縄から「山川2世」と呼ばれるスケールの大きな長距離打者が現れることを期待しています!!

 

参考資料

・ 森下義隆 (2018) 飛距離を上げるスイング軌道とスイングスピードの獲得.ベースボール・クリニック10月号 20-23ページ

・ 神事努 (2019) 打者の可能性を広げるバレルゾーン.ベースボール・クリニック1月号 20-21ページ

・ ベースボール・ギークス.フライボール革命は本当に日本人には不可能なのか?データで検証

・ Major League Baseball オフィシャルサイト.What is a Barrel?

#29 「正月太り」のハジマリおわり、体組成計で測定してみませんか??

もうすぐ今年が終わる~♪ やり残したことはないかい~

忘年会やクリスマスで美味しいものを食べましたし、やり残したことはありません!

お正月や新年会でも美味しいもの食べられますし、この時期は美味しものを食べる機会が多いですね。

とても嬉しい反面、体重の増加が心配です…(;゚∀゚)

 

「正月太り」に関するアンケート調査を行ったところ、女性の43.6%が「正月太り」を経験したとのことです[()オレンジページ調べ]

この調査は体重を測定して「正月太り」を調べたものではありませんが、

体重体組成計を使って「正月太り」のハジマリおわりを測定してみてはどうでしょうか??

そこで今回は、体組成計による体脂肪率の測定について話題を提供します。

 

体組成計による体脂肪率測定の原理

体組成計は生体電気インピーダンス法という方法を用いて体脂肪率を測定します。

生体電気インピーダンス法はからだに微弱な電流を流し、その電気の流れにくさ(電気抵抗値)を測定することで体脂肪率を推定します。

 

電気の流れにくさ(電気抵抗値)はからだの組織によって異なります。

脂肪は電気をほとんど通さないため、大きな電気抵抗値を示します。

電解質を多く含む筋は電気を通しやすいため、小さな電気抵抗値を示します。

 

これらのことから、身長と体重が同じ人でも…

体脂肪率の高い人(筋の少ない人)は電気抵抗値が大きく、

体脂肪率の低い人(筋の多い人)は電気抵抗値が小さくなります。

 

ただし、電気抵抗値から体脂肪率を推定する式は機器によって異なりますので、

体組成計はいつも同じものを使い、「体脂肪率そのものの値」よりも「体脂肪率の変化」を重視するのが良いでしょう。

 

むくみによって体脂肪率が減少する??

体組成計で測定した体脂肪率がむくみ(浮腫)によって減少することを示した研究(塩瀬ら 2017)があります。

この研究では被験者に上腕の筋を強制的に伸ばすような運動を行わせ、その後の体脂肪率の変化を調べています。

強制的に伸ばされる運動を繰り返すことで上腕の筋は損傷し、浮腫が生じます。

この研究でも運動を30回行った腕において、筋の損傷と水分量の増加(浮腫の発生)が確認されました。

以下の表は運動側および非運動側で測定された電気抵抗値から除脂肪体重や体脂肪率を推定した結果です。

運動側では除脂肪体重が約1.8 kg増加し、体脂肪率が約2.7 %減少しています。

以前のブログ(#28 躍進止まらないバドミントン日本代表!!世界で勝つためのカラダとは?? )でご紹介したように、除脂肪体重は筋量の指標となります。

よって、この結果は伸張性運動後に筋量が約1.8 kg増え、結果として体脂肪率が約2.7 %減少することを示しています。

こんなに効率の良い運動があれば最高なのですが、残念ながらこれは誤った解釈です。

筋に限らずからだの水分量が増えれば、からだの電気抵抗値は低下します。

よって、

今回得られた結果は伸張性運動後の浮腫(むくみ)の発生によって一時的に電気抵抗値が低下し、

結果として体脂肪率の減少と除脂肪体重の増加が推定されただけのものです。

実際には非運動側のように、この運動を行っただけでは除脂肪体重も体脂肪率も大きく変化しません。

 

この研究はからだの電気抵抗値から体脂肪率を推定する体組成計の注意点を示したものです。

すなわち、体組成計で体脂肪率を測定する際には、体水分の量やバランスが正常な状態であることが重要ということです。

 

体組成計による体脂肪率測定の注意点

体組成計はからだの電気抵抗値から体脂肪率を推定しますので、正常な電気抵抗値が得られる状態で測定を行うことが重要です。

からだの電気抵抗値は体水分や体温の影響を受けますので、体水分や体温が変動した後に測定を行うことは避けましょう。

 

<体水分を変動させる要因>

・立位 (立って生活することで夕方には体水分が下半身に集まります。)

・運動(発汗によって体水分量が減少します。運動で使った筋の水分量が増えます。)

・食事(消化のため胃腸に血液が集まります。)

・二日酔い(アルコールの利尿作用で体水分量が減少します。)

・発熱(発汗によって体水分量が減少します。)

・下痢

 

<体温を変動させる要因>

・運動

・食事(代謝量の増加によって体温が上昇します。)

・入浴、サウナ

・発熱

・女性の生理周期

・冷たい外気や冷房

 

このように、体組成計による体脂肪率の測定は様々な要因の影響を受けます。

できるだけ正確に体脂肪率を測定するためには、体水分や体温の変動ができるだけ少ない状態であることが求められます。

そのためには同じ時間帯に同じ状態で測定を行うのが良いでしょう。

体脂肪率の測定を習慣付けることを考えると、起床後に排尿を済ませ、体脂肪率を測定するのが良いのではないしょうか?

また、短期間の細かな変化に一喜一憂せず、長期間の緩やかな変化に着目することも重要です。

「正月太りとその解消は一日にして成らず」の気持ちでじっくり取り組みましょう!

 

オワリに

測定のときはいつだって少し怖いけど、

これも希望のかたちだってちゃんと分かってます。

元の体形に戻るのは最後の最後です。

「正月太り」に笑って「さよなら」を言えるといいですね!!

 

参考資料

・ 塩瀬圭佑、田名辺陽子、大西貴弘、高橋英幸(2017)筋損傷後の局所的な浮腫が生体電気インピーダンス法による身体組成評価に及ぼす影響、第72回日本体力医学会大会

・ 株式会社タニタホームページ.健康のつくりかた(正しい体組成計の使い方、体組成計の原理)

・ オレンジページくらし予報.今年のお正月、43.6%が「正月太り」を経験 正月明けは「増えた体重をとにかく戻したい」59.8% ふだんから体重を意識している人の正月太り度は?

 

謝辞

本ブログ記事の作成にあたり、参考資料の提供や内容に関するアドバイスを頂いた塩瀬圭佑先生に心より感謝致します。