#58 サッカーとジュニア Vol.3【体力をあげる!】

 前回のブログでサッカー選手に特に必要な4つの体力的要素の測定方法とプロサッカー選手の基準値について紹介しました。今回のブログでは、その体力的要素を向上させるトレーニング方法について紹介します。

 現代のサッカーでは、持久的パフォーマンス、高強度運動パフォーマンス、スプリントパフォーマンスおよび筋発揮パフォーマンスを高く発揮する能力がエリート選手には、特に重要であることを以前のブログで説明しました。これらの能力を向上させるためには、ウェイトトレーニングなどで基礎的な筋力を向上させたり、パワー発揮能力を向上させたりすることは大変重要なことです。

 基礎的なトレーニングについての詳細が知りたい方は、スポーツおきなわのスタッフにお問い合わせ頂くとして、本ブログでは持久的パフォーマンス、高強度運動パフォーマンスおよびスプリントパフォーマンス向上のために、サッカーボールを用いたトレーニング方法の原則およびトレーニング例について紹介します。また、筋発揮パフォーマンスのトレーニングについては、サッカーでどのように考えるべきかについての例を簡単に紹介します。

1:サッカーのトレーニング強度を変化させるために変更することができる要素

 ボールを用いたサッカーのトレーニング方法は無限に考えることができます。トレーニング内容を決定する上で重要なことは、サッカーのトレーニング強度を変化させるために変更することができる要素について理解することです。サッカーのトレーニング強度を変化させるために変更することができる要素は主に8つです(表1)。例えば、4対4のスモールサイドゲームを実施する場合、②のルール要素において、1回に触ることができる回数(タッチ数)に制限を設けることでフリータッチと比較して運動強度が上がり、⑦のストレス要素においてコーチの激励(コーチング)があることによってない場合と比較して運動強度が上がると報告されています(図1)。トレーニングの目的に応じて、これらの要素を変更し、トレーニング強度を決定することが重要です。

表1:サッカーのトレーニング強度を変化させるために変更することができる要素

要素

変更例

①ボール

数、サイズ、形、重さ

②ルール

禁止事項、条件設定

③ゴール

数、大きさ、設置する位置

④フィールド

面積、形(縦と横の比率など)

⑤選手(味方、相手)

それぞれの数、GKの有無

⑥トレーニング時間

長さ、反復回数

⑦ストレス

コーチからのコーチング、プレッシャー

⑧配球

どこから始めるか、どういうボールを出すか

図1:サッカーのトレーニング強度とトレーニング要素の変更との関係(ストレングス&コンディショニングジャーナル,Vol25,No.2,2018)

        

2:サッカーボールを用いた体力トレーニング

 サッカーの体力トレーニングについて、ここでは日本サッカー協会の指導者講習会で用いられている考え方を紹介します。日本サッカー協会の指導者講習会では、図2のように体力トレーニングを分類しています。ここでは、有酸素性および無酸素性トレーニングのことについて説明します。

図2:サッカーの体力トレーニングの分類

 

3:有酸素性トレーニング

 有酸素性トレーニングは、互いに重なりあった3つの領域に分類されます。低強度、中強度、高強度の3種です。有酸素性トレーニングの原則を表2に示します(最大心拍数を200拍/分と仮定した場合)。

表2:有酸素性トレーニングの原則

 3-1:有酸素性低強度トレーニング

 有酸素低強度トレーニングは、試合やトレーニング後の素早い回復を促すことを目的として行われます。図3は、ある有酸素性低強度トレーニングを40分間行った時のある選手の心拍数の変化を示しています。有酸素性低強度トレーニングは、持続的な運動または間欠的な運動のいずれで実施しても問題ありませんが、間欠的な運動として行う場合は、主運動の時間が5分以上になるようにトレーニング時間を設定する必要があります。

図3:有酸素性低強度トレーニング中の心拍数の変化例

 3-2:有酸素性中強度トレーニング

 有酸素性中強度トレーニングは、長時間にわたって運動を行う能力を向上させることを目的として行われます。図4はゲーム形式のスコアリングコーン(図5)を行った時のある選手の心拍数の変化を示しています。有酸素性中強度トレーニングも低強度トレーニングと同様に、持続的な運動または間欠的な運動のいずれで実施しても問題ありませんが、間欠的な運動として行う場合は、主運動の時間が5分以上になるようにトレーニング時間を設定する必要があります。

 

図4:有酸素性中強度トレーニング(スコアリングコーン)中の心拍数の変化例

図5:有酸素性中強度トレーニング例(スコアリングコーン)

3-3:有酸素性高強度トレーニング

 有酸素性高強度トレーニングは、長時間にわたって、高強度運動を行う能力を向上させることを目的として行われます。有酸素性高強度トレーニングは、間欠的な運動(インターバル方式)で行います。運動時間と休息時間の比率は表3の通りです。図7は、運動時間2分、休息時間1分の有酸素性高強度トレーニングを行った時のある選手の心拍数の変化を示しています。有酸素性高強度トレーニングの例を図8に示します。

表3:有酸素性高強度トレーニングの運動時間と休息時間の組み合わせ例

図7:有酸素性高強度トレーニング中の心拍数の変化例

図8:有酸素性高強度トレーニング例(5対5 マンツーマンボールキープ)

 持久的パフォーマンスは、有酸素性の中強度、高強度トレーニングを実施することで向上することが期待できます。表2および表3の原則を参考にして、トレーニングを実施して下さい。

 

最終vol.4へ続く。

 

 

引用文献

・ヤン・バングスボ(2008)ゲーム形式で鍛えるサッカーの体力トレーニング.大修館書店・東京.

・ヤン・バングスボ,イェスペル・L・アナセン(2018)パフォーマンス向上に役立つサッカー選手のパワートレーニング.大修館書店・東京.

・広瀬統一,菅澤大我(2016)サッカーボールを使ったフィジカルトレーニング.ベースボール・マガジン社・東京.

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