昨日で「2018年日米野球」が終わり、プロ野球はシーズンオフに入りました。
オフはファンにとって寂しい期間ですが、選手にとっては来シーズンに向けた練習を行う重要な期間です。
11月7日には「新語・流行語大賞」のノミネート語が発表され、「ダサかっこいい/U.S.A.」「(大迫)半端ないって」などと共に「筋肉は裏切らない」がノミネートされました。
「筋肉は裏切らない」は谷本道哉准教授が筋トレ指導を行うときのキメ台詞で、「筋トレを行えば筋肉は裏切らずに強く大きくなってくれる」ということです。
ただ、目的や方法を理解せずに筋トレを行ってしまうと、筋肉に裏切られてしまうかもしれません。
練習についても筋肉と同じことが言えるでしょう。
つまり、目的や方法を理解して行った質の高い練習は裏切らず、その成果が試合で発揮されます。
そこで今回は、少年野球選手のスイングに続いて「科学する野球」(平野祐一著)から「練習スイングを科学する」をご紹介します。
素振りの質を高めるために意識するべきこととは??
下の図は素振りを行ったとき(左)と実際の投球を打ったとき(右)に足が地面を押す力を測定したものです。
右足と左足の力を足し合わせ、その力を右打者の前後(腹側-背側)、左右(投手側-捕手側)、上下の方向に分けて示してあります。
時間は左から右に経過していて、バットのたわみからスイングの開始やインパクトの瞬間を決めています。つまり、点線の間でスイングが行われています。
素振りと実際の投球を打ったときの足の力の振れ幅はよく似ています。
しかし、素振りは実際の投球を打ったときに比べて、スイング前やスイング中の力の振れ幅が小さいことが分かります。
このことから、この選手は実際の投球を打つときに似た素振りを行っていますが、より質の高い素振りを行うためには実際の投球を意識する必要があると思われます。
スイング前に足踏みをしてタイミングを取ったり、スイング中にしっかり足を踏み込んだりして素振りを行うのが良いでしょう。
素振りを行う目的は「スイングの回数を増やしてスイングスピードを高めること」です。
「インパクトしようとする位置にバットの芯を運ぶこと」を目的に素振りを行うこともあります。
そのような目的で素振りを行う場合には、どのコースへの投球をどの方向に打ち返すかを意識することが大切です。
ティーバッティング、フリーバッティングの質を高めるためには??
下の図は打撃の振るわない高校野球チームを対象にスイングスピードを測定した結果です。
横軸に素振りのスイングスピード、縦軸にティーバッティング(■)と実際の投球を打ったとき(〇)のスイングスピードが示してあります。
また、横軸と縦軸のスイングスピードが同じになるときのラインが図内の太線で示してあります。
この太線よりも■や〇が下に集まっていることから、素振りに比べてティーバッティングや実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことが分かります。
さらに、■に比べて〇が下に集まっていることから、ティーバッティングに比べて実際の投球を打ったときのスイングスピードが低いことも分かります。
ティーバッティングではボールの位置に合わせてスイングを行わなければならず、実際の投球を打つときにはタイミングも合わせなければなりません。
注意するポイントが増えた、すなわち求められる技術レベルが高くなった結果、スイングスピードが低くなってしまったと考えられます。
ティーバッティングや実際の投球に対するバッティングのスイングスピードを素振りのスイングスピードに近づけるためには、バッティングの技術レベルを高める必要があるでしょう。
そのためには、失敗を恐れず強く振ることを意識して、ティーバッティングやフリーバッティングを繰り返すことが大切だと思われます。
映像を活用してバッティング練習の質を高める
足が地面を押す力やスイングスピードを測定できれば良いのですが、そのために必要な測定機器は安価で手に入るものではありません。
しかし、最近ではスマートフォンを活用することで、スイング動作を撮影することは容易に行うことができます。
スマートフォンで撮影したスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができます。
具体的には、まずは試合での理想的な自身のスイング映像を入手します。
他の選手のスイングを参考にする場合には、その選手のスイング映像を入手します。
インターネットや衛星放送の発展のおかげで、最近ではメジャーリーガーの映像でさえ容易に入手できるようになりましたね。
その後、練習での素振り、ティーバッティング、フリーバッティングのスイング動作を撮影し、試合でのスイング動作と比較します。
試合と練習のスイング動作の違いを見つけ、試合でのスイングに近づけるよう意識してバッティング練習を行います。
このようにスイング映像を活用することで、バッティング練習の質を高めることができるでしょう。
まとめ
試合を意識したスイング、試合に近いスイングを行うことでバッティング練習の質を高めることができ、そのような練習を繰り返すことで「練習は裏切らない」と言える成果が得られるでしょう。
P.S.
スポーツおきなわのトレーニングもあなたを裏切りません!!ᕙ(*´ω`*)ᕗ
参考資料
BBMスポーツ科学ライブラリー 科学する野球 バッティング&ベースランニング、平野祐一著、ベースボール・マガジン社