#26 那覇マラソン開催迫る!! 朝練と朝ごはんどっちが先??

NAHAマラソン第34回大会の開催が迫ってきましたが、みなさんのトレーニングは順調でしょうか??

市民ランナーの皆さんは出勤前、昼休み、終業後などに時間を作ってトレーニングに励んでいると思います。

沖縄県の気候を考えると朝の涼しい時間帯に練習を行っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、出勤前に「朝練」を頑張っている市民ランナーの皆さんのために、「朝練」のトレーニング効果についてご紹介したいと思います。

 

体温が朝練に及ぼす影響
私たちの深部体温は起床前の早朝に最低値を示し、就寝前の夜間に最高値を示します。

朝の低い体温は運動パフォーマンスに影響を及ぼすのでしょうか??

下の図は「朝」と「夕方」に60分間の自転車運動を行い、深部体温が持久的な運動のパフォーマンスに及ぼす影響を検討したものです。


運動前(0分)の深部体温(直腸温)は夕方よりも朝の方が低いことが示されています。

また、朝と夕方の出力パワーを比較すると、朝は運動前半の出力パワーが低いことが分かります。

これらの結果から、朝の低い体温は練習「前半」のパフォーマンスを抑制すると考えられます

ただし、朝の出力パワーは時間が経つにつれ増加しており、運動60分間の平均パワーを比較すると朝と夜で違いは見られませんでした。

 

上の図のように運動を行うと深部体温が上昇しますが、深部体温が臨界温度(約40℃)に達すると運動が継続できなくなります。

そこで、臨界温度に達するまでの時間を遅らせて運動継続時間を延長するため、運動前に深部体温を下げておく「プレクーリング」という身体冷却法があります。

朝の低い体温は「プレクーリング」のような効果を発揮するのでしょうか??

上の図の直腸温を見ると、運動前(0分)だけでなく運動終了時(60分)も朝の直腸温が低いことが分かります。

もし60分以降も運動を継続した場合、朝と夕方のどちらが先に約40℃の臨界温度に達するでしょうか??

朝の低い体温には「プレクーリング」のような効果があり、朝練をゆっくり長く行う場合には有利に働く可能性がありそうです。

 

効果的な朝練は朝食前?朝練後?

下の図は「朝食前」または「朝食後」に60分間の自転車運動を行い、1日で利用される脂質、糖質、たんぱく質の量を調べたものです。

その結果、朝食前に運動を行った場合、朝食後に運動を行った場合に比べて脂質の利用量が20%近く多いことが分かりました。

 

「朝食前」「昼食後」または「夕食後」に60分間の自転車運動を行わせ、エネルギー消費量や糖質・脂質の利用量を調べた結果が下の図です。

運動だけでなく食事や空き時間の過ごし方もコントロールしたため、一日の総エネルギー消費量には違いが見られません。

しかし、一日の脂質の利用量(酸化量)を見ると、朝食前に運動を行った場合が最も高いことが分かります。

また、運動を行った際に利用された脂質の利用量を見ると、朝食前に運動を行った際の利用量が明らかに高いことが分かります。

 

なぜ朝食前に運動を行うと脂質の利用量が高いのでしょうか??

多くの場合、夕食から翌日の朝食の時間は一日で最も長い「食間」となるでしょう。

夜寝ている時であってもカラダはエネルギーを消費しており、朝食前には運動のエネルギー源として体内に蓄積されている糖質(グリコーゲン)が少ない状態となっています。

そのような低グリコーゲン状態で運動を行うため、朝食前の運動ではより多くの脂質が利用されると考えられます。

よって、体脂肪の減少を目的として朝練を行う場合には朝食前に練習を行うのが良いでしょう。

 

中長期間にわたって低グリコーゲン状態でのトレーニングを行った場合の効果についても様々な研究で検討が行われています。

その結果、トレーニング後のグリコーゲン回復が促進されること、脂質からのエネルギー供給を円滑にすることが明らかになっています。

したがって、中長期間にわたってマラソンのトレーニングを行う場合にも、朝食前に行う朝練は有効であると考えられます。

 

空腹状態で朝練を行う場合の注意点!!
当然のことながら、朝練後の食事で炭水化物を適切に摂取しなければ、グリコーゲンを回復させることはできません。

また、空腹状態の運動は筋のたんぱく質を過剰に分解する可能性が指摘されており、朝練後の食事はたんぱく質の回復という観点からも重要です。

食事によるグリコーゲンやたんぱく質の回復効果は、炭水化物やたんぱく質を単一で摂取するよりも両方の栄養素を同時に摂取した方が高いことが明らかになっています。

よって、空腹状態で朝練を行った後には、炭水化物とたんぱく質さらに脂質のバランスが取れた朝食を運動後できるだけ早く(30分以内)に摂取することが理想です。

 

「疲れた」と感じさせる要因は様々ありますが、グリコーゲン量の減少もその一つとなります。

したがって、低グリコーゲン状態で行う朝練はいつもより強い疲労を感じる可能性があります。

疲労を自覚しながらの運動は注意力が散漫となり、外傷や障害、オーバートレーニングのリスクを高めると言われています。

また、低グリコーゲン状態での運動が免疫力の低下を引き起こす可能性も指摘されています。

さらに、高血圧症は早朝に血圧が上昇する場合があり、そのような状態で朝練を行うことは避けるべきとの指摘もあります。

以上のようなことから、空腹状態で朝練を行う場合にはいつも以上に自身の体調に敏感になり、十分な準備運動と水分補給を心がけて慎重に行う必要があるでしょう。

 

さいごに
空腹状態での朝練にも長所と短所があり、すべての面で優れた万能なトレーニングではありません。

特徴と注意点をよく理解した上で、マラソントレーニングの一つの方法として空腹状態での朝練を有効に活用して下さい。

 

参考資料

・ 朝練習のトレーニング効果、岩山海渡ら、ランニング学研究 26(1), 2-13, 2015

・ Exercise Increases 24-h Fat Oxidation Only When It Is Performed Before Breakfast, Iwayama et al., EBioMedicine 2(12): 2003–2009, 2015

 

謝辞

本ブログ記事の作成にあたり、参考資料の提供や内容に関するアドバイスを頂いた岩山海渡先生に心より感謝致します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください