#15 「S字型」と「I字型」、クロールで 速く泳げるのはどっち??

 

現在、インドネシアのジャカルタではアジア競技大会が開催されています。

昨日まで行われていた競泳では、日本と中国の金メダル獲得争いが白熱していました。

最終的な金メダル獲得数は… 日本19個、中国19個の引き分け!!

アジアのライバルと競い合った経験を2020年の東京オリンピックにつなげて欲しいですね。

 

今回は未来の競泳日本代表・トビウオジャパンで活躍する皆さんのために、2つのクロールのストローク(水かき動作)をご紹介したいと思います

 

 

アルファベットを描くクロールのストローク

クロールのストロークには下の図のようなS字型I字型があります。

S字型はアルファベットの“S”を描くように曲線的に水をかきます

I字型はアルファベットの“I”を描くように直線的に水をかきます。

 

もともと主流だったクロールのストロークはI字型でした。

しかし、

1972年のミュンヘンオリンピックで7冠を達成したマーク・スピッツ選手がS字型のストロークだった影響で、S字型が主流となっていきました。

しかし、しかし、

2000年のシドニーオリンピックで活躍したイアン・ソープ選手のストロークがI字型であったことから、「速く泳げるのはS字型?? I字型??」再び議論されることとなりました。

 

 

流体力学で分かったS字型とI字型の特徴

専門家高木英樹教授(筑波大学)、中島求教授(東京工業大学)らの研究グループは流体計測解析技術を使って、次のようなS字型とI字型の特徴を明らかにしました。

 

S字型は少ない発揮パワーで効率よく泳ぐことができます。

このことから、泳ぎの効率が重要な400m以上の中長距離種目に向いています。

 

I字型は直線的に水をかくため速いスピードで泳ぐことができます。

このことから、効率よりもスピードが重要な50~100mの短距離種目に向いています。

 

このような特徴は、水をかくときに手の周りに発生する“渦”が原因となっています

すなわち、曲線的に水をかくS字型と直線的に水をかくI字型では異なるタイプの”渦”が手の周りに発生し、それぞれのストロークの推進力に影響を及ぼしているのです。

 

 

S字型とI字型、どっちが良いの??

S字型とI字型のストロークの特徴から、

400m以上の中長距離種目ではS字型を使っている選手が多く

50~100mの短距離種目ではI字型を使っている選手が多いようです。

しかし、

イアン・ソープ選手はI字型のストロークを使って1500mで結果を出しました

同じように1500mで結果を出した孫揚選手も、I字型のストロークを使っていたように見えました。

 

泳ぐスピードはストロークの頻度(ピッチ)に関係しますので、腕を速く回すことで泳ぐスピードを上げることができます。

効率の良いストロークであるS字型でピッチを上げて行くと、早いピッチに肩回りの筋肉が対応できなくなり、曲線的に水をかけなくなってしまいます。

そうなってしまった場合は、効率の良いS字型を諦め、直線的に水をかくI字型に変えてピッチを上げる必要があります。

このことから、

S字型で泳ぎ始め、泳ぐスピードが上がって来たらS字型からI字型へとストロークを少しずつ変え、I字型でラストスパートをするというように、S字型とI字型を使い分けるのも良いかもしれません。

ストロークの使い分けという考え方からすると、「右手はI字型、左手はS字型」とストロークを使い分けるのもおもしろいですね。

 

それで結局のところ、S字型とI字型、どっち良いの??

うん?!?! 悩みますね。

選手の体格や筋力やキックを含めたテクニックによって最適なストロークは異なります。

ですので、「こっちが良い!!」と はっきりと答えるのは難しいです。

 

S字型とI字型、自分にとってどちらが良いか試してみて下さい。

また、S字型やI字型とは違った軌道や手の向きで泳ぎ、S字型やI字型とは違った”渦”を手の周りに発生させてみるのも良いかもしれません。

色々なストロークを試すことで、自分にとって最も良いストロークを見つけて下さい。

みんなちがってみんないい。

 

参考資料

・ 高木英樹、中島求 (2016) S字ストロークか?I字ストロークか?―最適クロール泳法のメカニズムを解明―

・ 中島求 (2016) 最速のクロール泳法.TechTech ~テクテク~ 30: 6-9.

 

 

 

 

 

 

 

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