夏の甲子園もいよいよ明日の決勝戦を残すのみとなりました。
大阪桐蔭が勝って2度目の春夏連覇か??
金足農業が勝って優勝旗の白河関越えか??
どちらが勝っても100回の記念大会にふさわしい史上初の記録が生まれます。
今回は2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭の強さの秘密について、
発育・発達の観点から考えてみたいと思います。
プロ野球選手に近い大きな体格!!
下の図は大阪桐蔭の選手の身長と体重、BMIを示したものです。
BMIはBody Mass Indexの略で、体重(kg) ÷ [ 身長(m)の二乗 ]で算出します。
BMIは日本語で「体格指数」と呼ばれ、体格の目安として使うことができます。
大阪桐蔭の選手のBMIを見てみると、
選手権に出場した選手の平均値よりも大きく、プロ野球選手に近い値であることが分かります。
すなわち
大阪桐蔭の選手はプロ野球選手に近い大きな体格をしているということになります。
大きな体格はトレーニングと●●●のおかげ??
大阪桐蔭の選手がプロ野球選手に近い大きな体格をしているのはナゼでしょう??
まず考えられるのは、
休養と栄養を含めた日常的なトレーニングで筋肉が発達したためでしょう。
選手の年齢を考えると、次に考えられるのは発育の進み具合です。
すなわち、
年度の早い月に生まれた選手は、発育が先行して学年内で体格が大きいのではないでしょうか。
選抜高校野球大会に出場した選手の誕生月を調べたものが下記の図になります。
4-6月に生まれた「遅生まれ」の選手の割合が高く、
1-3月に生まれた「早生まれ」の選手の割合が低いことが分かります。
では、大阪桐蔭の選手の誕生月はどうなっているのでしょうか??
ベンチ入りメンバー18名中16名の誕生月が調べられましたが、早生まれは1名のみでした。
このことから、
誕生月が早く、学年の中で発育が進んでいることも大きな体格の要因であると思われます。
(ということで、タイトルの●●●に当てはまるは「誕生月」となります。)
早生まれの選手の才能をどのように育てるか??
早生まれの選手には発育に関するハンデがあり、
強豪校でのベンチ入りを難しくしていることが分かりました。
発育に関するハンデは高校に入学する前から始まっていますから、
早生まれの選手は高校入学前に野球を辞めてしまうことも多いようです。
その原因は下の図のように考えられています。
プロ野球選手にも早生まれの選手の割合が低い傾向が見られるとのことです。
2017ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表に関しても同様の傾向が見られました。
しかし、
早生まれの2017WBC日本代表選手には千賀滉大投手や青木宣親選手などがおり、
早生まれだからと言って野球の才能が劣る訳ではないのです。
「発育のハンデが生み出す悪循環」は野球に限ったものではなく、
すべての競技に共通なのではないでしょうか??
早生まれの選手が悪循環にはまって競技を辞めてしまい、
せっかくの才能が潰れてしまったり、スポーツ嫌いになってしまったりするのは大変残念です。
4月生まれから3月生まれを同学年とする制度を変えることは難しいですから、
早生まれの選手が希望するポジションで思う存分にプレーする機会を与え、
才能をじっくり育成するシステムを指導者が考える必要があります。
育成システムの一例として、大阪桐蔭の西谷浩一監督は練習試合を数多く組むことで、
全ての選手にチャンス(野手であれば数十打席)を与えているとのことです。
大阪桐蔭のベンチ入りメンバーは「遅生まれ集団」でしたが、
与えられたチャンスをものにした選手を集めた結果、そうなったことになります。
早生まれの選手にも試合に出場するチャンスが与えられていた訳ですから、
「発育のハンデが生み出す悪循環」にはまることを防げるのではないでしょうか??
誕生月によらず、すべての選手が「島人ぬ宝」、「日本の宝」です。
指導者の皆様には早生まれの選手には発育のハンデがあることを考慮して、
各選手に合わせた育成システムを考えて頂きたいと思います。
まとめ
甲子園強豪校はプロ野球選手に近い大きな体格をしてました。
その原因として、
トレーニングによる筋肉の発達と誕生月が早いことによる発育の先行が考えられました。
PS
私は4月生まれです。
発育の先行を頼りに調子に乗っていた幼少期がありましたが、
発育が終わってどんどん抜かれる悲しい思いをしました…(泣)
参考資料
スポーツと子育て(東京農業大学・勝亦陽一助教Twitter)
BMIを指標として使用することで何がわかるんですか?
単純に体重を身長で割るだけでは意味がないんでしょうか?
「Body Mass Index(BMI)」は日本語で「体格指数」と訳されるように、‟サイズの異なる個体間の体格を比べるため”に求められます。
その方法としては単純に体重を身長で割るものに加え、体重を身長の2乗や3乗で割るなどより複雑なものもあります。
体重を身長の2乗で割る指数がBMIとして普及したのは、世界保健機構(WHO)がこの指数を使って成人の肥満判定の基準値を示したためと思われます。
よって、ある集団の体格について検討を始める際には、様々な体格指数の中からその集団に最適な指数を見つけても良いかもしれません。
ただし、一度決めたものを途中で変更するのは大変ですから、体格指数の選択は慎重に行って下さい。